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#139 2021年5月 高速道路の吹き流し

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コロナウィルスへの緊急事態宣言の中で、なんとなく過ぎてしまった今年のGWという感じでした。

やっとワクチン接種も始まりましたが、その予約の電話がつながりにくいという状況もあり、本当のところはどうなっているのか、なかなか情報が入ってこないのはもどかしい事です。


薫風かおる五月

とは言うものの、時には前日との寒暖差が10度以上にもなる時があるような、冬の終わりと夏の始まりを行き来しているような季節です。

特にここ数日(5月上中旬)は、普段の年よりもかなり強い風が吹き、それは晴天の日でも雨の日でも、大きな風音を感じさせられています。
低気圧と高気圧の配置のせいで風邪が起こる事になりますが、その不安定な天候がこの強い風やカミナリを発生させ、5月1日には静岡県の牧之原では竜巻と思われる突風によって、多くの建物や設備に被害を生じさせました。

雨は激しさの度合いがその見た目で分かりますが、風は強ければ電線を震わせる音で強さを感じられても、はて、気象情報で「風速○○mの風」と言われた時に、なかなかその数値だけではどれぐらい強い風なのか、またどれぐらいの用心をしなければならないのか、私たちには見当がつかないことも多いと思います。


高速道路の吹き流し

5月といえば端午の節句と鯉のぼりということになりますが、高速道路を走っていると似たようなもので 「吹き流し」 を目にすることがあります。

図のように、吹き流しが垂れ下がっている場合には弱く、真横に流されていれば、それは強い風とは分かるのですが、水平の場合でも「風速 10m 以上」ということで、台風の時などに聞かれる「風速 25m」や「風速 40m」という強さまで見当のつくものではありません。

また風速 10m とは理解しても、普段使っている「時速○○km」に置き換えるとどれぐらいになるのでしょう?

この風速10m というのは、正確には秒速で10m 、つまり1秒間に 10m 移動する速さ(100m を10秒=オリンピック並)になります。
また気象情報では、直近 10分間の平均風速を「午前○○時発表」ということにしています。

時速に換算すれば風速 10m は「時速 36km」になります。
一般道を走っている自動車がそれぐらいのスピードですので、その真横に立っているぐらい(ただし連続的に自動車が来ていないと一瞬で終わってしまう)の感覚にとらえればいいのではないかと思います。

正直言って、「意外と耐えられる強さだな」という気がします。


台風の時は?

これから夏が本番になってくると、日本列島はまた台風に襲われる季節になってきます。

その時によく耳にする「風速 40m(正確には1秒の風速が 40m)」がどれぐらいの速度になるかというと、これは単純に風速 10m の時の4倍になるので、「時速 144km」になります。
これは自動車の場合、高速道路でも違法な速度になるので、かなり速い…
いうなれば、新幹線より遅く特急列車より早い通過列車の真横に立っているということと同じぐらいになってきます。

そして風速よりも大事になってくるのが、この時に感じる力(圧力)、「風圧」 になります。
風圧の目安として、1m × 1m の板(1u)を風速 10m の風に立てかけた場合、その受ける風圧は「5kg」になります。
ところが風速が 2倍になると、受ける圧力(風圧は)2乗になるため、風速 20m では 4倍の 20kg になります。
違いの度合いとしては、横になって寝ている上に 5kg の乳幼児が乗るのと、20kg の小学生が乗る違いといえますね。
注意しないといけないのは、これが 1u に受ける力だということです。
高速道路に吹き流しが設置されているのは、走行中の車が横に流されないように、この「風圧」の注意への目安とされているからだと言えます。


自動車が受ける横風

この冬も、北海道が猛吹雪に襲われ、大型のトラックやバスが横転したり、側溝に落ちたりしたニュース画像を覚えていられると思います。

どうしてあのような事故になったのかというと、やはり強い風に流されたからなのですが、その大きな原因には、トラックやバスの形状が風を受けやすい形状であるということです。

観光バスを例にとると、側面で高さが 約 3.5m 、長さが約 12m あります。面積なら 42u になり、風速 10m の風でも側面には 210kg の押される力を受けていることになります。

ところが風速が一時的にでも 40m の風が吹くと、一気にその力は3,360kg(3t 超)の力が加わり、自動車の制御が一気に奪われます。
それでも 、バス自体の重量が 12.5t〜15.5t のため、風で飛ばされるには重たいものです。

私たちの普段乗る自動車、とりわけ最近の傾向ではミニバンという箱型のタイプではどうでしょうか?
ボンネットがあるものの、横の面積は約9〜10u になります。
ですからミニバンの場合、風速 20m でも 200kg 、40m なら 800kg の押される力を受けることになります。

バスやトラックと比べて横の面積が小さい分、受ける風圧は違いますが、風の強い日、とりわけ気象情報で風速 20m が予想されているような日には、不要不急のお出かけは避けるべきと言えるでしょう。

またトンネルを抜けた時に急激な横風を受けた経験がお有りなら、強風の日の怖さも、より具体的に想像できることと思います。


※ WEB版での追記

   現時点で特になし


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