#138 2021年4月 不思議な数字 142857 |
異例の一年延期になった東京オリンピックの開催まで100日を切ってしまいました。 4月になってコロナへの予防ワクチンの接種も始まり、少しずつ実効力のある対策も始まりましたが、一方では変異型が猛威を振るうようになり、大阪では連日1000人前後の感染者が出ています。 「素数はめぐる」コロナウィルスの話題が続くと、きっと書いている私も読んでいる方も 果たしてそんな時なのですが、個人的には大変面白いなと思った話題の出ていた本を読みました。
本の題名は、「素数はめぐる」(ISBN 9784065020036 /講談社ブルーバックス 税込 ¥1,012)で、
本屋さんでもネットでも手に入ります。 と、その前に電卓の使い方を…なにが面白そうな話なのかというのは、電卓を手元に置きながら実際に計算してみると一目瞭然なので、まず電卓の使い方を確認します。 電卓の基本的な機能に、「繰り返しの計算」というのがあるのですが、わりとご存じない方が多いので、そのやり方です。 電卓を使っていると、時々表示部分に “k” と表示されるアレなのですが、あまり知られていないようなので、覚えておくとこれは便利な機能です。
例題:1個 35 円の物を、5 個、7 個、10 個と買う時の値段の計算 最初に基準となる
「35」(「3」と「5」) を入力して、 その次に「5(5個)」を押してから、 つまり 「3」 「5」 「×」 「×」 「5」 「=」 という入力順序になります。 そうすると(当然ですが…)、答えの 「175」 が表示されます。
次にそのまま(「=」を押した後)で「7(次の数字) 」を押して「=」を押してください。 今度は「3」「5」を押していなくても答えの 「245」 が出るはずです。 ここでの電卓の使い方のポイントは 「×」を二度押すことと、 結果の時に必ず「=」を押すことで、 それを守る限り最初の基本となる数字をずっと覚えていてくれます。
ちなみに割り算でも使えますが、その時は割る方の数(15÷3なら「3」)そして「÷」「÷」「1」「5」「=」と実際の計算とは逆に入力します。 「1」「5」「÷」「÷」「3」「=」 という入力順序ではなく、 「3」「÷」「÷」「1」「5」「=」 という(感覚的にはおかしな)順番の入力になります。 (どちらも 「AC (オールクリア)」を押せば 繰り返し計算はいつでも解除されます) 不思議な数字 142857さて! それではちょっと面白い数字を使って計算をしてみましょう。 さきほどご紹介した本の題名は「素数はめぐる」なのですが、これから使う「142857」という数字はちなみに素数ではありません。
※ 素数とは、1 より大きい自然数で、正の約数が 1 と自分自身のみであるもの→ 3や7、13などのように、他の数字で割れない数字のことです。
数ある数字の中でなぜこの数字なのかというと、とても面白い動きをするからです。
では、電卓にこの「142857」に続けて「×」「×」と押してください。 そのあとに「2」「=」とすると、「285714」になります。 (表示部分に "k" が出ているようにしてください) 以下、 2倍から6倍まで
計算した結果になりますが、お手元の電卓を叩きながらなら、
142857 × 2 = 285714 142857 × 3 = 428571 142857 × 4 = 571428 142857 × 5 = 714285 142857 × 6 = 857142 …
「何が面白いんだ?」と思われた方は、答えの6個の数字をご覧ください。 「1」「4」「2」「8」「5」「7」の6個の数字しか答えに出てこないのです。 それでは 7倍したらどうなるでしょう?
142857 × 7 = 999999 あれ? でも、なんとなく偶然でも面白みのある数字ですよね。 次に8倍してみます。
142857 × 8 = 1142856 まぁ当然 999999 より大きくなるので桁が増えて7桁になり、先ほどの6個の数字では収まらなくなります。 でも…。 両端を除いた間の5桁「14285」は生きているのですが、実は両端の「1」と「6」は足して「7」になり、消えたはずの「7」はここにあるのです! 142857 ×8 = 1142856 → 「1 14285 6」 →両端の 1と 6 = 7
では、9倍は? 142857 × 9 = 1285713 → 「1 28571 3」 →両端の 1と 3 = 4 が、消えずにあります。 10倍は? 1428570 (1 + 0 = 1) 11倍は? 1571427 (1 + 7 = 8) … …
そして「×7」の時に「999999」となったことは引き継いで、7の倍数の時(例えば「×21」とした場合には「2999997」)、やはり
また7の倍数で掛け算をした時の数字を分解してたしてみると「9 + 9 + 9 + 9 + 9 + 9 = 54」になります。
どこまで続くかと思ってやってみたら、「×101」で「14 4285 57」となり、ここで数字の合計が「36」になったので法則が崩れました。 ただ「×102」では「14 5714 14」なので、また法則は復活してきます(両端2桁の「1」「4」と「1」「4」で
消えた「2」と「8」が復活します)。 ※ WEB版での追記 「×101」で「14 4285 57」となったのですが、よくよく見ると 「1」「4」「2」「8」「5」「7」に加えて「4」と「5」が余計に増えていて足して「9」になります。 142857 も二つずつ組み合わせると 「1」と「8」、「2」と「7」、「4」と「5」は足して9になります。 そして7倍した時の 999999 と合わせて考えると、どうも「9」という数字にマジックのカギがありそうですね。 |
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