オリオン座
夏よりも透明感のある冬の夜空には、大きな星座で有名なオリオン座があります。
星占いの12個の星座の次に名前のあがるほど有名なのがこのオリオン座で、ある意味一番知られている星座でもあります。
このオリオン座、ギリシャ神話などのさまざまな神話などに登場する狩人であり、大きな巨人のイメージでもあります。
オリオン座で一番目立つのが腰のベルトに並ぶ三ツ星ですが、右の脇の下と左のかかとに明るく輝く星があり、冬の南の空でひときわ大きな星座で、東京の明るい夜空でも確かめることができます。
オリオン座にまつわる伝説で有名なものは、オリオンはさそりに殺され、そのために夏の夜空にさそり座、冬の夜空にオリオン座が輝くようになったという話が有名です。
これは、狩りに出かけていつも大きな獲物をとってくるオリオンが、「ライオンでも熊でも自分に敵うものなどいない」と威張っているのを聞いた神々が「オリオンの獲る獲物は私たちが与えたものなのに」と、その傲慢さに怒りサソリを仕向けます。
隙をつかれたオリオンはサソリの毒針の一撃にあい、身体に毒が回って死んでしまいます。
この手柄から、サソリは星座になって天空に輝くことになったのですが、オリオンも星座になりました。
しかし、サソリを恐れるオリオンはさそり座が夏の星座として輝くとき、その裏返しになる冬の星座として、姿を見せるようになったと言われています。
この他にもオリオンにまつわる神話は、オリオンは海の神ポセイドンの血を受け継ぐ美青年であること、ギリシャいちの力持ちであること、また月と狩りの女神アルテミスと恋に落ちたこと等、いくつもあります。
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【 オリオン座 】
緑枠の星がベテルギウス
黄枠の星がリゲル
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そのオリオン座に異変?
さて、オリオン座の絵を見ると、彼の右肩(胴体の左上)に「ベテルギウス(Betelgeuse)」という、この星座の赤い明るい星があります(もう一つは左かかとの「リゲル」)。
このベテルギウスの明るさは夜空の星(恒星)の中で10位以内に入る明るさなのですが、2019年の10月ごろから暗くなってきていて昨年の12月には上位20位にも入らなくなってきたそうです。
「そういえばなんとなく去年とかと比べると違和感あるかなぁ」と思われていた方は正解で、専門家の科学者によれば形も明らかに違うということらしいです。
しかしこのベテルギウスという星は明るさが変化する変光星であり、天文学が科学として扱われるようになってから何十年間も調べられてきました。ただし、明るさ10位以内という目立つ星がこんな風に暗くなるのは珍しく、なにか異変が起きるのではないかと、科学者の人たちは期待しているという話です。
その異変というのは、「超新星爆発」という私たちが一生で見ることができるかどうかの、「一大天文ショー」です。
ベテルギウスの寿命
ベテルギウスは太陽系から600光年という、宇宙としては比較的近い距離にある星で、赤い色をした質量が太陽の20倍ある赤色巨星と言われています。
この赤色巨星は寿命が短いことが知られており、ベテルギウスは誕生から850万年しか経っていませんが(太陽の寿命は100億年といわれています)、もうすでに寿命の終わりに近づいていると科学者は判断しています。
いまでは、このベテルギウスの超新星爆発が「いつ起こるのか」が彼らの一番の関心事になっています。
この超新星爆発がベテルギウスで起こると、一時的に満月よりも明るくなり、そして次第に暗くなって夜空から永久に消えてしまうことになります。
しかし、この爆発の余波が地球に届くまでには600万年かかると言われており、その大きな影響はほとんど無いと考えられています。
600万年後の子孫となると私たちには想像できないことと、大きな影響が現時点で地球には及ばないという点では安心していられるので、もしもこの超新星爆発が起きるようであれば、一生に一度の天文ショーとして楽しめればと思います。
超新星爆発の可能性(兆候)があるとすれば、2020年1月中旬頃までのベテルギウスの明暗に変化が起きることがカギになるそうです。
【WEB版の追記】
とは言っても…。
なにしろ宇宙時間の話なので、明日起きるかもしれませんし、100年後、1000年後の話かも知れません。
そして、爆発の光が確認できるまでに、ベテルギウスは600光年離れているので、もしこの1年間で爆発を見ることができたとしたら、実際には600年前の日本では室町幕府の頃にすでに爆発していたということになります。
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