立春が過ぎると次は二十四節気の「雨水」で、雪が雨に変わってくるという一つの節目。
つまり、次第に温かくなる時期ということでもありますが、意外としつこく北の寒気が流れ込んできて寒い日がつづいています。
はしかとインフルエンザにまだまだ油断のできないこの頃。
乾燥する気候には注意してください!
イニシャル R.I.
イニシャルが R.I. という水泳のうまい女の子がいて、次第に頭角を現した彼女は次々と彼女の国の水泳の記録を塗り替えていきました。
高校生になっても伸び続ける彼女の能力に、国中の人たちは大きな期待を寄せて、自分たちの国で近いうちに開かれる二度目のオリンピックでも最高のメダルをいくつも取ってくれると思っていました。
彼女の高校三年生の冬。
大学進学も決まり、卒業まであと少しを残した時期に、彼女の身体にちょっとした異変が起きました。
いつも通りに臨んだ競技会で、いつも通りに泳いだつもりなのに、自分のベストタイムから何秒も遅いタイムに、彼女自身が一番驚いてしまいました。
疲れが抜けきれない自分の身体に「ああ、年末とか忙しかったからかなぁ…」と思いながらも、肩で息をしなければならないほどの疲れに、合宿先の異国でお医者さんに診てもらうと、「すぐに自分の国に帰ってちゃんと診断を受けなさい」と言われました。
そして受けた診断の結果は「白血病」。
彼女の国のニュースはトップでそのことを伝えました。
彼女のいままでの活躍を知る国中の人たちが言葉を失い、同時にいろいろな思いが心の中に渦巻きました。
次の年に開かれるオリンピック…。
そこに出場する権利を得るためには、選考会に出場して上位のタイムを出さないと出られません。
それは、過去の記録がどんなに優れていても、出場する全部の選手が公平に審査されるのですから。
いま、彼女は病院で白血病の治療に専念することを決めました。
誰一人、重大な病気を抱えてしまった彼女に、無理なことをさせることはできません。
これから彼女は新しい戦いを始めていこうとしています。
きっと国中の人たちが、良くなることを心から願っていること、そして「もしかしたら…」「オリンピックに間に合うかも…」と過大に期待を寄せているかも知れません。
でも、彼女はまだ高校三年生の、制服を着れば普通の女の子です。
私たちは彼女を静かに見守り、元気な笑顔を見ることができるように、心から祈り続けたいと思います。
白血病
それが、重篤な病気であることは昔からよく言われており、「誰々が白血病だって…」という話は、多くの人は耳にしたことがあると思います。
1年間に白血病と診断される人は、男女合わせると1万人に1人ほどいます。
血液細胞には「赤血球」「血小板」「白血球」があり、これらの血液細胞は骨髄で作られるのですが、その作られる過程で癌(ガン)になってしまいます。
この癌化した細胞が増えることで、正常な血液細胞が減ってしまい、貧血を起こしたり、血が止まりにくい、免疫が低下するなどの症状が出てきます。
つまり、イニシャル R.I. の彼女 … 池江璃花子さんが、疲れやすく体力が低下していたことはその兆候だったのかも知れません。
白血病は、病気の進行のパターンと癌化した細胞のタイプから、「急性骨髄性」「急性リンパ性」「慢性骨髄性」「慢性リンパ性」の4つに分けられます。
池江さんがその中のどの型の白血病なのかは報じられていませんが、「入院して治療を行なうということから、「急性」ではないか」と推測されているお医者さんもいらっしゃいます。
そして治療方法としては「まずは抗ガン剤による治療が行なわれ、そこから必要があれば次の段階(骨髄移植)になるのではないか」ということのようです。
その場合、小児に多い「急性リンパ性」の場合なら平均的には2年程度の通院期間、「急性骨髄性」の場合なら半年程度の通院期間になると言われています。
ただし、骨髄移植の必要が出ればさらに期間は延びることになります。
高校三年生=18歳という彼女の年齢は、この「小児に多い」というところと微妙な境界になるので、どちらの型になるのかは、まだこれからの慎重な診断を待つことになると思います。
骨髄バンク
池江さんの報道以来、骨髄バンクへの問い合わせが増えています。
以前にABOの血液型の話をしましたが、輸血と同じように、骨髄移植にも「ヒト白血球抗原(HLA)」という型があり、移植に際しては患者と提供するドナーの HLA を一致させないとなりません。
この遺伝子は両親から半分ずつもらうので、兄弟姉妹の間では4分の1の確率で見つかりますが、通常は見つからないことが多いといいます。これが非血縁者(他人)になると、数百〜数万分の1の確率になるといわれています。
池江さんのことをきっかけに、ドナー登録が増えれば現在白血病で苦しむ約14000人の方々に適合するHLAの確率も増えることになると思われますが、実際にドナー登録となると二の足を踏む方も多いのが現実で、医療の現場では悩ましいことだと思われます。
(参考)日本骨髄バンクのサイト → https://www.jmdp.or.jp/
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