#114 2019年1月 新元号にかわる2019年 |
平成として、最後の新年を迎えました。
明治、大正、昭和と、天皇陛下の崩御で変わってきていた元号が、初めて天皇陛下のご意思での退位に伴う元号の変更になります。 年末年始にかけて「平成最後の…」という言葉があふれていましたが、現在進行形でこのフレーズを聞くのって初めてだったんですね。 風邪が流行っています。気をつけてください! 30年前と比べて昭和から平成に変わった時、西暦で言うと1989年の今頃の時期でした。 当時の官房長官だった小渕さんが「平成」と掲げた写真は、多くの人の記憶に残っている、ある意味一番「平成」を象徴するものかもしれません。
現在と比べると、1989年というとまだインターネットが今のように普及する前の時代で、長く続いた「昭和」に慣れ親しんでいた私たちも、西暦を使うよりも、昭和XX年という言い方や、企業で使う書類でも「昭和」と印刷されたものがたくさん残っていました。 「
インターネット普及の前の時代、つまり一人一人にパソコンが普及する前の時代ということで、当時の企業のシステム=経理業務に使うシステムだったこともあり、ほとんどが独自にプログラムを組んでいるものであったため、昭和から平成に変更するために、当時のSE(システムエンジニア)の人たちは大変忙しい思いをしたと聞いています。
そこから約10年後の「2000年問題」を思い出してみると、その10年間がパソコンを含むコンピューターが爆発的に普及した時代になります。 この2000年問題の時に一番問題となったことは、その頃までに普及した多くのコンピューターの基幹ソフトである「Windows」の日付の持ち方(内部的な日付の記憶方法)が、「年」の部分を「1999年」ではなく「99年」という形で2桁で持っていたために、2000年になると日付に混乱をきたすことになるということで、ここでもコンピューター業界は対応に追われることになりました。
コンピューターの事情に合わせると、元号を使うよりも西暦を使う方が合理的ではあるのですが、まだまだ多くの機関で元号が普及しています。 なかでも役所関係では元号を使っているケースが多いですね。 区役所や市役所に出向いた時に書く書類の日付は、元号を使うことが多いです。 また銀行の貯金通帳を見ると、そこの日付も元号を使っています。 これは決まった大きさの貯金通帳の横幅に対して、少しでも詰めて記載できるように、4桁ではなく2桁で印字したい表れでははいかと思われます。
一方で、お店から受け取るレシートでは、西暦で書かれているものがほとんどです。 これは、平成に変わった時の苦労や、2000年問題の時の苦労が、システムの改修にかかる費用を考えると、西暦を使った方が経済的であることがその理由であると思われます。 また絶対的に元号を使う理由がないということも考えられます。 現在では…30年前と比べると、一番の変化はコンピューターの普及になります。 「コンピューターとは無縁の生活をしているよ」という方でも、ビデオの録画予約も内部的には日付の管理をしていますし、旅行社で旅の予約をするのにも、旅行社側のシステムがなければ予約することもできません。 そしてみどりの窓口や銀行のシステムなどの専用のコンピューター端末を除いては、多くはパソコンを使っています。
このパソコンの多くはMicrosoft の Windowsをベースにして、いろいろなアプリケーション(アプリ)が動いていますが、世界中に普及しているWindowsなので、日付に関しては当然西暦で扱われています。 これを「日本語版Windows」においては、ローカライズ(地域対応)を行って、漢字やアラビア文字の表記と同様に「和暦(元号)」でも表示するように、各国で対応を行っています。(*) 新元号の開始いろいろな案がありましたが、今回の平成から新元号に変わる時期が、5月1日からとなりました。 先ほどの小渕さんのことを思い出すと、時代がコンピューターと無縁ならば4月下旬に発表というのが流れになりますが、これだけ世の中でコンピューターの管理が普及していると、そのシステムのことも考えないとなりません。 そのため、国民生活に大きな影響を与えないために、今回は事前に発表することになったそうです。
一説では4月11日以降に発表と言われていましたが、年頭に4月1日発表という方針になったようです。 この背景には、あまり5月1日に近いと、年度末〜年度初めの、特に税金徴収業務などで、万が一システムが日付のことで障害が起きる事への懸念などがあると思いますが、もう一方では例のWindowsの定期的なアップデート(毎月第2火曜日(米国時間):日本では第2水曜日か第3水曜日)の前になるようにという配慮もあるようです。
元号が変わることは仕方のないことですが、単に呼び方が変わるだけではない事情が、現代には山積していますね。
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