夏から秋、そして冬へと季節が変化するたびに、四季の様々な彩りを感じることのできるのも日本の特権の一つと言えますが、どうも最近はその季節感もずれている感じもします。
さすがに12月になって寒波も押し寄せてきたのか、だいぶ寒くなりましたが、気が付けば新年まで残すところ10日あまり…。
ちょっと実感のない年末にモヤモヤしています。
地球温暖化は深刻な問題
今月の2日より14日までの会期予定で、地球温暖化対策の国連の会議「COP24」がポーランドで開催されました。
今回の会議の中心的な議題は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みの合意である「パリ協定」を、どう実施していくかの詳細なルール(実施方針)の採択で、会期を一日延長し無事に採択されました。
ちょっと時系列をさかのぼると、このパリ協定は2015年にパリで開かれた、
『温室効果ガス削減に関した国際的な取り決めを話し合う「国連気象変動枠組条約締約国会議(COP21)」』ですでに合意されていました(21とは通算の開催回数)。
そして2016年のCOP22で、今年までに協定の実施方針を策定することが合意されました。
このパリ協定のルーツになるのが、1997年に定められた『京都議定書』になります。
パリ協定
パリ協定では、
『世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より低く、1.5℃に抑える努力をする。
そのためにできる限り早く世界の温室効果ガス排出量を削減し、21世紀後半には、温室効果ガスの「排出量」と森林などによる「吸収量」のバランスをとる。』
という、世界共通の長期的な目標が掲げれています。
このパリ協定では日本も締結国であることは言うまでもありませんが、重要なポイントは、
『途上国を含むすべての排出国が対象であること。
排出削減目標を国ごとに課すのではなく、自主的な取り組みを促す主旨であること。』
が挙げられます。
これはパリ協定が、締結国だけで世界の温室効果ガス排出量の8割、そして約160か国/地域(非締結を含めると200近い国と地域)をカバーすることからも、まさに世界をあげての大々的な取り組みということができます。
では、なぜ「排出削減目標を設定する」のではなく、自主的な取り組みを促すような協定になっているのでしょう?
京都議定書
パリ協定のルーツになるのが京都議定書になるとお話ししましたが、これは1997年に国立京都国際会館で開かれたCOP3で採択された協定書になります。
この時の採択を大雑把にいえば、
「先進国全体で先進国の温室効果ガスの排出量を1990年に比べて5%減少させることを目標」
とするということでした。
1997年当時を思い出してみれば、もちろんまだ地デジの放送は始まっておらず、世の中はパソコンの2000年問題を云々し始めた頃でした。
そのパソコンの生産も半導体を含めて日本が中心で、当時の先進国にくくられる国々は、欧米諸国と日本に限定されるといってもいい時代であったと言えましょう。
21世紀になると…
その頃は、工業の進んだ先進国だけが削減目標を設定するだけで、当時の途上国ではその負担はありませんでした。
しかし、中国や東南アジアの諸国、またアフリカや中南米の諸国が、その後に生産面でも消費面でも急激な経済成長を遂げたことで、一気にそれらの国々で温室効果ガスの排出が増大してきました。
累積した温室効果ガスという点では、1800年代後半(日本の明治時代)の産業革命以降に、その恩恵を受けてきた先進国の責任にも大きなものがありますが、「これから」の地球環境を考えていくには、新興の国々とも手を取り合ってこの問題に取り組んでいかなくてはなりません。
いわばこの歴史的な排出責任の問題は、そのままパリ協定のルール作り(実施方針)の場においても、『先進国
VS 途上国』
という形で、議論や対立の「しこり」として残っていました。
それでも話し合いを続けた結果、最終的には「すべての国を対象とした、ほぼ統一的なルール」が採択されました。
これによって、2020年からのパリ協定スタートに向けて準備が整ったと言えます。
COP24に行ったのは政府ばかりじゃない
実は、あまり大きな記事では出ていませんでしたが、COP24開催期間中の10日に予定されていた集会では、板橋区が環境教育の取り組みなどを紹介しました。
これには板橋区のほかに横浜市や長野県も参加しており、坂本板橋区長からは、「持続可能な社会の担い手の育成」を目指す環境教育について紹介するとともに、温暖化対策や環境保護で栃木県日光市やマレーシアと連携している事例をもとに、都市部と地方とが互いを補い合う仕組みについて発表することになっていました(本会議の進行具合などで実際に行われたかは続報がないため不明)。
現在を生きる世代はもとより、未来を生きる世代の人たちに、いかに持続的にこの問題を伝え、いつまでも美しい地球があり続けるように心から祈って、2018年の締めにしたいと思います。
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