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#063 2014年7月 屏奴

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屏奴

 「屏奴」って、正直言って読み方は分かりません。

日本語なら「へいど」か「ひょうど」だと思うのですが、実は中国情報のサイトで見つけた言葉です。

意味を知って、「ああなるほど、上手いネーミングだな」と思いました。

(あとで中国語のできる友達に聞いたら、中国語読みでピンヌゥと読むそうです)

 

屏奴とは、「モニター画面(屏風)の 奴隷」という意味で、日常生活でスマホやパソコンなどの電子製品を長時間使用している人、特にそれから片時も離れられない人という意味でつけられた呼び方です。


アッと言う間に…

振り返ってみれば、この10年から15年で、仕事も日常生活もだいぶ変化したように思います。

 

15年前と言えば、だいたい20世紀末〜2000年頃になりますが、たしかまだポケットベルを使っていたように思います。

もちろん携帯電話も普及してきていましたが、高校生は料金の安いPHSを使っていたように思います。

 

インターネットのホームページ(WEBサイト)も、しっかり見ようと思うと、パソコンの画面からでないと詳しい情報は得られませんから、

「スイッチを入れる」→「ウィンドウズを立ち上げ」→「パスワード入力」

といった手順を踏まないと、情報収集もネット購買も簡単にはできませんでした。

(もっともYahooや楽天、Amazonなどは普及しきってはいないで、個別の購入のできるサイトから直接買うようなのも多かった時代です。)

 

携帯電話からインターネットを見ようとすると、i-mode (←これはdocomoの呼び方で各社で異なります) からのアクセスになり、パソコン用とは別の i-mode用の画面が用意されていました。

 

1990年頃までのテレビドラマ(つまり昭和時代)を思い出すと、公衆電話から会社や家に電話を掛け、相手がつかまらないですれ違いになるというストーリー展開がよく見られました。

今なら、誰でも携帯電話を持っているので、「相手がつかまらない」ということは、「ほぼあり得ない」話になるので、ドラマそのものの展開が大幅に変わります。

 

もちろん現実社会でも同じように「便利」になりました。


いったいどれぐらい…?

「便利」という言葉を使ってみましたが、同時に「居留守」を使えなくなってしまいましたwww

 

地球の裏側の人とも、リアルタイムに繋がることができるのは、とても便利になったことです。

思い立った時に、手軽な方法で、即座に事を運ぶことができるのは、ずっと人類が憧れていたことだったからです。

 

ところが気がついてみると、「思い立った時に連絡をする」ことから「連絡がきてないか、新しいニュースが入っていないか」と、常に気にして携帯(スマホ、パソコン)をいじっている自分がいませんか?

そこで表題の「屏奴」という言葉になるのです。

 

中国・新華社報道によると、最近の統計データでは、2013年に世界中に18億3000万台のスマホがあり、携帯ユーザーは1日150回携帯をチェックしているということです。

つまり、一人平均6分半に一度携帯の画面を見ている計算になるわけです。


コミュニケーションの能力って?

さて、これ6分半に一度、一秒程度というわけではないので、仮に1分間と仮定すると、携帯のチェックに一日の内150分(2時間半)を費やしていると言えます。

さらに自分の携帯・パソコン以外からでも、電車の扉上、銀行の待ち時間、大きなビルの壁面等、いたるところに「モニター」が置かれ、じゃんじゃん「情報」が雪崩れ込んできます。

電車に乗って30分の移動中に、どれぐらい携帯を見ているかと思えば、2時間半という数字も荒唐無稽な数字でもなさそうです。

 

この「モニター症候群」ともいえる「屏奴」は、モニター画面に夢中になっているため、さまざまなトラブルを引き起こします。

例えば、道を歩きながら携帯の操作に夢中になってホームから落ちたり、トイレで長時間にわたって携帯をいじっていて「痔ろう」などの病気になるといったケースです。

他人とぶつかる機会も増えるでしょうから、トラブルの種を作ることにもなりがちです。

 

その反面で、円滑に他人と人間関係を築くことが苦手となり、面と他人に向かってコミュニケーションをとる代わりに、モニターを通じて人とコミュニケーションをとるようだと、これは本末転倒と言えましょう。

(余談ですが、『隣同士の席で社内メールでケンカをしていた』 という話をきいたことがあります。)

友達の友達という形で、ネットの中で人間関係が拡大していくようでいて、現実の生活や社会の中で会話のできる相手は、どんどん限られ、狭くなってきています。

 

IT(Information Technology=情報技術)は、人間が作った技術であり文明でもありますが、私たちは「ITを使う」ことはあっても、「ITに使われる」ことのないように心がけたいものです。


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