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#064 2014年8月 エボラ出血熱

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エボラ出血熱

西アフリカから、ちょっとイヤなニュースが伝わってきています。

 

アフリカの大西洋側のギニア、リベリア、シェラレオネの三国を中心に「エボラ出血熱」で亡くなる人が増加しているということです。

特に今年の流行は異常ともいえる大流行で、3月に最初の患者が確認されてから、 8月までに1000人近い人が亡くなっています。

 

日本に居ながらにして、やはり一番遠いともいえるアフリカのイメージとしては、まだ未開の土地も多く、克服されていない風土病などもあるのだろう…、という思いは否めません。

 

野口英世博士=黄熱病のように、あるいはマラリアを蚊が伝染させるなど、アフリカで流行る病気というものは、知識として知ってはいても、それが一体どういうものなのかというのは、なかなか「理解」という点では難しいものがあります。


「ない!!」ことの恐ろしさ

さて、この「エボラ出血熱」ですが…。

 

症状としては、感染してから一週間ぐらいの潜伏期間を経て、高熱と嘔吐の症状が出ます。

そして鼻や喉の他、身体全体で出血が見られ…、 感染から10日ほどで、最悪では90%近い人が死に至るという恐ろしい感染症です。

そして、運よく生き残れた人にも、失明や聴力の障害、脳障害を引き起こすことが多いと言われています。

 

最初の感染者が1976年と、比較的最近になって発見されたウイルス性の疾患のため、 現在WHO(世界保健機構)が認定する治療薬は、まだありません

※ その後、日本の富士フィルムの関連企業である富山化学工業の「アビガン®錠」が、エボラ出血熱の治療にも効果が見込めるということで、治療に使われています。

#071 2015年3月 富山化学という会社 を併せてご覧ください。

 

この種類の病気で治療薬がないのは、このエボラ出血熱とデング熱の2つくらいと言われています。

ただし、デング熱の場合は致死率という点ではエボラ出血熱に比べるとかなり低く、その意味でもエボラ出血熱の流行は、なんとしてでも食い止めておかないと、世界に広がると大変なことになります。


エボラウイルス

病気の根源が「エボラウイルス」と呼ばれる細長いウイルスであることは分かっています。

これが空気感染ではなく、病人からの直接感染で感染が広まるらしいということも分かっています。

病人に直接触れたり、血液・排泄物の飛沫を受けたという、わずかな量からでも感染させる、このウイルスの能力は高いものです。

ただそのエボラウイルスが、普段はどこに潜んでいるのかということになると、まだ推測の域を出ません。

(従って、以下は諸説の中の有力な説と思ってください)

 

一番疑わしいのは「コウモリ」と言われています。 お国や文化が違うので、「食用コウモリ」というのが、どうしても想像になってしまいますが、現地ではコウモリや自然界にいる動物(猿など)の肉を燻製などにして、食用にしています。

猿が感染源であるという考えも成り立ちますが、むしろ猿はヒトと同じに感染した患者という見方の方が正しいかも知れません。

潜伏期間中の感染例はなく、高熱・嘔吐などの発症後に直接感染してしまいますが、空気感染の可能性はほとんどないことからも、発症した患者を隔離できれば、感染の蔓延は防げると言えます。


今回が異常な理由

最初の患者が1970年代に発見されてからの約40年間で、エボラ出血熱による死亡者は約1500人います。

致死率は高いのですが、発症してから死に至るまでの期間が短いため、他の人に感染する前に患者が亡くなってしまうので、マラリアやコレラが今でも年間に数十万の人が亡くなっていることと比べると、格段に少ないと言えます。

 

が、しかし!!

 

40年間で死亡者が1500人だったのですが、今年に限ってはこの約半年の間だけで1000人近い人がエボラ出血熱で亡くなったため、ヨーロッパの国ではこの西アフリカへの渡航を制限する国も出てきています。

実際にイギリス、サウジアラビア、香港で感染者が発見されており、水際での対応を誤ると、拡散してしまう可能性を秘めています。

どうもこの一因となったのが、従来はアフリカの奥地の「村」で流行り、「村」で終結していたエボラ出血熱が、今年は都市部で流行ったことにも原因があるようです。

また隔離のために「連れて行く(行かれる)」のを防ぐために、家族が事実(患者)を隠すということもあるようです。

もちろん日本では現時点で感染例はありませんが、健康への予防対策として、「手洗い」「うがい」の習慣は、日ごろから身につけておいた方がやはりいいのだ、ということに気づかされました…。


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