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#118 2019年8月 フェーン現象とは?

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超大型の台風10号がお盆の時期に前後して、日本の西側を中心に大きな被害とともに駆け抜けていきました。

これから秋にかけても、まだいくつか台風が来るかも知れません。

相手が自然の現象とはいえ、万が一に備えて情報に気を配り、避難場所等を再確認するようにしてください。


フェーン現象とは?

その台風10号が西日本(四国から中国地方)にかけて上陸した時に、新潟の上越市では今年最高となる40度を記録しました。

これはフェーン現象の影響とニュースなどで報道されていましたが、この「フェーン現象」って時々聞く言葉なのですが、どういった時に起きる気象現象なのでしょう?

 

フェーン現象とは、山を越えた風が熱風となって吹き降ろすために、風下の場所の気温が上がる現象です。

普通に考えれば、風の温度に変化はなさそうですが、古いかわら版(2014年9月…5年前の「寒気の到来で上空の大気が不安定」の時ですね)で一度お話ししたように、気温は高さ100mごとに0.6℃下がります

ですから、スカイツリーの下が30℃の時に最上部(634m)で温度をはかれれば、3.6℃ぐらい低い26〜27℃になります。

 

下の図では、左から右に風が吹いています。

今回は台風10号の影響もあって、左(南)からの風が上越方面の三国山脈(谷川岳など2000m級の山々)を越えて右(北)の上越方面に吹き降ろしたためにフェーン現象が起きました。

 

 

単純に考えれば100mで0.6℃下がるなら谷川岳の頂上付近では0.6x20=12℃の風(空気)になっているはずです。

この空気の気温が下がる時に、空気中に含まれていた水蒸気は集まってきて氷の粒になっていきます。

その同じかわら版( 寒気の到来で上空の大気が不安定 )の時にもお話ししたのですが、これらは「雨雲」になって、氷の粒は地表に落ちるまでに「雨」となって降ってきます。

こうして水蒸気を減らした(湿度の下がった)風が山に沿って吹き降ろしてきます。

風上側と風下側では、空気の湿り具合(湿度)が違いによって、空気が山を登る時と下る時で、気温の上下する割合に変化があり、下る時には100mあたり1℃上がります

そのため、図のように関東地方で32℃、谷川岳頂上付近で20℃だった風も吹き降ろした時には1℃x20=20℃上昇するため、吹き降ろした地点の上越では40℃という気温になってしまいます。

 

このようなフェーン現象は日本海側に多くみられ、特に全国的に南風が強い初夏から初秋にかけて、風上側の太平洋側より風下側の日本海側の気温がずっと高くなります。

特に今回は夏の高気圧が吐き出した南風を日本海海上にあった台風が吸い込む形にるので、関東地方では湿った強い風が日本海側では乾いた山から下ろしてくる南風となって典型的なフェーン現象で気温を押し上げたと言えるでしょう。

逆に冬の北風は山で雪を降らせ、湿度を減らして関東地方に流れ込んでくるので、いわゆる「上州(群馬)のからっ風」となって、関東地方の乾燥を促しているとも言えます。


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