#092 2017年3月 バッグクロージャ |
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三寒四温…。 一週間のうち寒い日が3日、温かい日が4日と、本当に寒い時期は過ぎ、だいぶ春めいてきました。 まだ寒波がもう一度来るのか油断はできませんが、それでも外に散策に出てみると、頬にあたる風がかなり和らいで感じられるようになってきました。 季節の変わり目ですから、気をひきしめて新学期、新シーズンを迎えましょう!! バッグクロージャーって、なんだかお分かりになりますか? 私もつい先日まで、これがそういう名前のものだと知りませんでした。 おそらく多くの方が、一日にたぶん一度はどこかで目にされていて、そしておそらく 「アレ」 という名前のベスト3に入るものだと思います。
お分かりになりましたか? そう、食パンの袋を留めている 「アレ」 です。 スーパーマーケットの食パン売り場にある、全てといっていい食パンの袋はこれで留められており、つい脳内計算をしてしまうのですが、果たしていったい一日にいくつの 「コレ(バッグクロージャー)」 が消費されていくのでしょう? もう一つ気になるのは、食パンを食べ終わった後、おそらく多くのバッグクロージャーはプラごみとして廃棄処分にされ、あくる日にはまた食パンと一緒に新しいバッグクロージャーが家庭にやってくるのだろうな、って思います。 本当に使い道はないのか?と思って、インターネットで検索してみたら意外と活用されている方がたくさんいらっしゃいました。 (そもそも基本的なこととして、「名前が分からないものをインターネットで検索」するというのは意外と難しいものです)
最初に感心したのは、
テーブルタップに差した電源コードの仕分けに使う
という方法です。 これは電源コードだけでなく、パソコン周りのUSBケーブルの仕分けにも応用できますね。 それから同じコード(ケーブル)という意味では、イヤホンのケーブルをまとめるのにも便利です。
そうか、まとめるということでは…
輪ゴムや(女性の)髪留めの整理に使う
というのも便利そうな使い方です。 余談ながら、コードの整理には
「ダブルクリップ」も便利
です。 特大サイズを使うと、カラーボックスの棚板などを挟めるため、コードを整理しやすくなります。 (コードを外したツマミ部分に差し込んでから戻すだけです)
それから最近ちょっと流行っているらしいのが…
「バッグクロージャーにゃんこ」
つまり、半分に折った形が猫を横から見た姿に似ているので、思い思いに猫の顔やカラダの模様をマジックで描いて作るというものです。 お子さんと遊ぶのに手ごろですが、小さい部品のため口に入れたりしないように、十分にお気をつけください。 そもそも 「コレ」 って…?いつ頃、誰が考えたのでしょう?
と、調べてみたら、意外と古くからあったようです。 そしてコレは、アメリカのクイック・ロック社というところが特許を取っている製品で、日本ではクイック・ロック・ジャパン社が一社で製造しています。( http://kwiklok.jp/)
時は1952年といいますから、日本はやっと戦後から立ち直ろうとしている頃です。 アメリカの南カリフォルニアで包装機械メーカーを営んでいた、フロイド・パクストンは西海岸北部ワシントン州のリンゴ生産者から「りんごを袋詰めした後に袋の口を簡単に閉じる方法はないか?」と相談を受けました。 彼は移動中の飛行機の中で、小さいポケットナイフとプラスチックの破片を使って試行錯誤し、バッグクロージャーの原型になるものを作り出しました。 (今なら機内へナイフを持ち込むなど考えられませんが…)
このバッグクロージャーは多くのリンゴ生産者に受け入れられましたが、パクストンはさらに1時間で何千個ものクロージャーを製造できる高速の設備を開発し、さらに1960年代になると「全自動の袋づめの機械」とそれに連動する 「クロージャー自動結束機」 を開発したことで、潜在的な市場であった製パンメーカーからのたくさんの注文を受けました。 ふと思うのは…同じようなもので、全ての乗り物(クルマだけでなく電車や飛行機でも同じ構造)のワイバーやゴムタイヤなど、それらに取って代わる道具が想像できません。 ただ、バッグクロージャーはプラスチックが原料ですし、ワイパーもタイヤもゴムが原料ということは、いずれ地球の資源としては枯渇してしまうことでしょう。
未来のいつの頃か食パンの袋は、なにで閉じられ ているのでしょうか? |
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