#088 2016年9月 中秋の名月 |
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今年は台風1号の発生が例年になく7月と遅かったのですが、この2か月半で16号と、台風シーズンも終わりに近づく頃には、帳尻だけは合って来そうです。 今年は天気が悪く中秋の名月を東京では拝めませんでした。 昨年のお月見の時は、ちょうど日本旅行中だった中国人の友人に「月餅」を振る舞ったことを思い出しました。 中秋の名月俗に「お月見」と言われる中秋の名月。 ここでいう「中秋」とは暦の上での秋であり、立秋から立冬までの期間のちょうど中間にあたる旧暦の8月15日が「中秋」になります。 ですから、現在の暦=太陽暦とは考え方が違うので、毎年お月見の日は違った日になります。
ちなみに2015年は9月27日で、2016年は9月15日でした。
ところが「真ん丸のお月様だねぇ」ということで、満月=真円=お月見の日になるかというと、実は必ずしも一致してきません。 それは、新月から満月を経て新月に戻るまでの満ち欠けに、29.53日かかっているからです。 この「29.53(29.5)」という数字は月齢とも言われており、毎日の正午の月齢が新聞の地方版ページの天気の下に出ています。 そして満月の日の月齢は13.8〜15.8日になるのですが、厳密には月齢14とも月齢15とも言えない微妙なズレが生じてくるからです。 写真はムーンフェイスの時計ですが、新聞の月齢を見てそれに合わせておくと、だいたいの月の形になります。 この時計(機能)の本来の目的は、月齢から様々な情報を知ること、たとえば潮の満ち干が重要な情報となる船乗りやマリンレジャーには、実は欠かせない機能だと言えます。 月の不思議「月の満ち欠けに29.5日かかるなら、月の公転周期(地球の周りを一周する期間)も29.5日なんだなぁ」と思ったら、これは実は2.2日短い「27.32日(27.3日)」でした。 その理由の説明の前には、月の自転周期(月が一回転する時間)を知る必要があります。 月は、地球に対して常に同じ面を向けています。 いつみても月の表面に見える模様(日本では「ウサギ」にたとえられる形です)が、同じに見えることは誰もが知っています。 ですから、月は地球の周りを一周するのに、ちょうど自分でも一回転していることになりますから、自転周期=公転周期の27.3日になるわけです。それでは、なぜ公転周期の27.3日と満ち欠けにかかる29.5日という差ができてしまうのでしょう? (ちなみに満ち欠けにかかる期間のことを「朔望周期(さくぼうしゅうき)」といいます) そっか、地球も動いてたっけまさしくその27.3日の間に、月の親にあたる地球も太陽の周りをまわっていました! ですから、その移動した分だけ位置がずれてくるために、新月から満月を経て新月に戻る周期(朔望周期)とはズレが生じてきます。 27.3日後の地球から月を見ると、地球が太陽の周りを動いた分だけ、新月(真っ黒な月)ではない、ほぼ消えかかった月を見ることになるわけで、本当の新月に戻るためにはあと2.2日の時間が必要なのです。 この「朔望周期」という言葉の「朔」とは新月を意味し、「望」とは満月を意味します。 「望月さん」という苗字の方がいらっしゃいますが、望月とはまさに満月を意味し、「もちづき」という言葉から想像がつくように、お月見の時にお供えする「餅」もここから来たという説もあります。 地球と月のバランス
見慣れているはずの「お月様」ですが、別の視点で見てみると、思ってた以上に興味をそそったので、今月のテーマにしてみました。
太陽系に関する話としては、 #075 2015年7月 冥王星までどんだけ〜!! もご覧ください。
※ 「他の天体が地球に衝突してその時に飛散したものが固まったという説」=ジャイアントインパクト説については、#110 2018年9月 月が出来たから… どうなった? も併せてご覧ください。 |
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