#066 2014年10月 いまさら火山の話でも… |
期せずして、今月もまた気象の話題です。 が、今回はあまりにも規模が違いすぎる、日本地図までも変えてしまうような出来事の話です。 長野県と岐阜県の境にある御嶽山が、9月27日に突然の大きな火山爆発を起こしました。 56人の死亡者と安否不明者7人が出ているのですが、長野県の阿部守一知事は冬の到来を控え、16日で今季の捜索を打ち切る事を発表しました。 いまさら火山の話でも…日本という国は、周りを海に囲まれた火山と地震の絶えない国、と言えば、端的に日本のプロフィールを示すと思います。 もっとも、地球の大きな活動(地殻活動)ということから見れば、「地震活動」と「火山活動」は根を同じにするものと言えます。
日本はユーラシア大陸の一番東側で、太平洋を取り巻く「環太平洋造山帯」の一部に属しています。 「環太平洋造山帯」というのは、陸地だけではなく海も含めた地球表面のプレートのうち、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込むことで、地形を作り出しています。 そして、この環太平洋造山帯では火山活動が頻繁であり、また歴史に残る大地震の多くは、ここで発生しています。
この火山活動を伴った地形作りは、時計回りの方向に、 インドネシア
などを作り出してきました。 (過去に大きな地震は、スマトラやアリューシャン、ロスアンゼルス、チリなどで発生したのを思い出します… もちろん日本も!!)
地球にはもう一つ「アルプス・ヒマラヤ造山帯」というのがあります。 このアルプスとヒマラヤの造山帯の活動は、「褶曲活動(寄せ集めてシワにするような活動)」で地形を作るのに対して、太平洋を取り巻く「環太平洋造山帯」では火山活動を伴うので、「環太平洋火山帯」とも言われています。 昔の記憶を捨てよう!!遠く薄れかけた「理科」の記憶を思い出してみましょう。 「日本は火山国で、火山には『活火山』『休火山』『死火山』があります。富士山は休火山で…」と教わった覚えがあります。
そもそもこの区分の根拠は、
というのが定説でした。 ところが噴火や噴気活動は、火山ごとにまちまちであるため、活火山と休火山を単純な区別だけで区分することが難しくなってきました。 現在は「活火山」と「それ以外」!そして1960年代には、過去1000年ぐらいのところまで活火山の範囲を広げ、63火山までを活火山にしました。 1968年には、有史以来の活動の記録がない今回の「御嶽山」や記録のある「富士山」も活火山にされています。 さらにその後の研究で、一般に休火山や死火山と考えられていた火山が相次いで活動を始めたものもあり、この分類区分が無意味であることが一般的にも知られてきました。
そして2000年頃には、
という区分になってきています。
日本では、2003年の火山噴火予知連絡会で活火山を再定義し、現在日本国内で、110個の火山を活火山としています。 御嶽山の他に、「え、この山も?」というものでは…
が活火山とされています。 ただしその活動には程度の違いがあり、それは次のように6段階に分けられています。
レベル5 (極めて大規模な噴火活動等)
レベル4 (中〜大規模噴火活動等)
レベル3 (小〜中規模噴火活動等)
レベル2 (やや活発な火山活動)
レベル1 (静穏な火山活動)
レベル0
#073 2015年5月 箱根・大涌谷の噴気 もご覧ください。 ご冥福をお祈りします秋の行楽シーズンに、素晴らしい景色とおいしい空気を提供してくれるはずだった、御嶽山への登山だったと思います。 それが予期せぬ、突然の大噴火によって、多くの方が尊い命を落とされましたことは、本当に悔やんでも悔やみきれません。 何気ない普段と変わらない山々が、ある日突然姿を変えて怒り狂うことがあるということを、今回の御嶽山は教えてくれました。 犠牲となられた方々が教えてくれた教訓は、やはり私たち一人一人の心に留めておかなければならないと思います。 |
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