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#065 2014年9月 寒気の到来で上空の大気が不安定…

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寒気の到来で上空の大気が不安定となり…

気象情報を見ていると、気象予報士の方がよくこのセリフを言っています。

けっこう一年中言われているので、聞き慣れてしまって「とにかく雨が降るから傘を持っていこう」という風にとらえている方も多いのではないかと思います。

 

「昔と比べると・・・」 ずいぶんと、或いはなんとなく、夏と冬の気候が変わってきたなぁと感じる方もたくさんいらっしゃると思います。

異常気象はきっと「地球温暖化」のせいだと思いながら、温暖化がなぜ異常気象を引き起こす要因になっているのかといえば、やっぱり「なんとなく分かっているけど…」という人が大半ですよね。


地球温暖化のメカニズム

大気中には、私たちが生きるのに必要な酸素だけではなく、「温室効果ガス」といわれている、二酸化炭素や水蒸気などが含まれています。

この温室効果ガスという言葉は、地球温暖化の話題の時には必ず出てくる、ちょっと悪い印象の言葉ですが、実際は大事な役目をもっています。

 

それは、太陽から地球が受け取った熱が、赤外線となって宇宙に放出されてしまうことを調整することで、地球全体の平均気温を一定に保つ役目です。

調整といっても、もちろんスイッチ一つで温度調整ができるエアコンとはちがい、温室効果ガスの「濃度を適量にする」ことで、一部の熱を残し、一部の熱を宇宙へと放出しているという役目です。

 

しかし、この温室効果ガスの濃度が高まる(つまり二酸化炭素や水蒸気の量が増える)と、熱が地球にこもりやすくなり、地球全体の平均気温をあげることになります。

この二酸化炭素は「CO2」と言われ、排出量を規制する動きが世界的に始まっているのは、ニュース等でもおなじみのことですね。

 

その地球の平均気温は、この100年の間に約0.7〜0.8度上昇したといわれています。

いろいろな説はありますが、このままで上昇が続くと、次の100年間ではさらに2〜3度上がるとも考えられ、もし北極海の氷が溶けるようなことになると、生態系にも様々な影響が出てくると言われています。

 

地球温暖化については #113 2018年12月 地球温暖化は深刻な問題 も併せてご覧ください。 


気温の上昇がもたらす影響

気温の上昇は、海水の温度の上昇を招きます。発生した温かく湿った空気は、積乱雲を作る原因になります。

「積乱雲ってなに?」と思いがちですが、簡単に言えば「夏の空の入道雲」のことです。

「入道雲ができると夕立が来る」とはよく言われることですが、まさにその通りで、この積乱雲(入道雲)の大きさが、夕立の雨の量といえます。

 

通常、気温は高さ100mごとに0.6度下がります。

気象情報で、「上空5000mに-40度の寒気が入り・・・」と言っていることがありますが、5000m上空との温度差は、通常なら 30度の差(気温は100mごとに 0.6度 下がるので 5000mだと30度の差)になります。

ですから地表の気温が仮に25度だとすると 、25度 -30度 = - 5度 というのが通常の5000m上空の気温のはずですが、 これが - 40度の気温(寒気)ということは、通常よりも35度も低い、かなり冷たい空気が上空にあることになります。

 

空気というものは温かい方から冷たい方へ流れます。

上空にこの差が大きい強烈な冷たい空気があることで、地表の水蒸気を含んだ空気が下から上へと吹き上げる流れ(風)が強くなるため、「大気は不安定」になり、竜巻の起こる条件と、積乱雲ができる条件が揃ってきます。


大雨と雹(ひょう)の母体

この吹き上げられた大気中の水蒸気は、上空に行くに従って冷えて「氷の粒」になります。

下からは常に風(上昇気流)が吹き上げているため、まだ氷の粒が小さいうちは上空に漂っていますが、次第に大きくなった氷の粒を、上昇気流が支えきれなくなってくると、今度は下に向かって落ち始めます。

通常は落ちてくる間に、氷の粒は溶けて雨になるのですが、元々が大きくなった氷の粒が溶けた雨であるため、雨粒の大きさも大きなものになります。 (たしかに夕立の雨は大粒ですよね)

 

しかし、大きくなりすぎて地表に届くまでに溶けきれなかった「氷の粒」は、「雹(ひょう)」になって降ってきます

(ちなみに、0.5mm未満の氷の粒は「あられ」と区分されます)

 

今年の6月に三鷹市で、大量の大きな雹が降ったのは、記憶に新しいところです。

まるで大雪の時のような映像に驚かされましたが、これも上空と地表の温度差が大きくなったために、大気が不安定となったためです。

 

確かに三鷹での大粒の雹を記憶にとどめていますが、実はあの日は関東甲信越の広い範囲で激しく雨が降った日でもありました。

 

この地表と上空の気温差による、不安定な大気の中で発生する積乱雲が、雹や竜巻、激しい雨を降らせる原因になっています。

時には1時間に100oを超える雨を降らせることもあり、外が黒い雲で急に暗くなった時は、巨大になった積乱雲が近づいている兆しです。

安全な屋内にいるか、近隣の地勢が危険であるなら、土砂災害に注意すべきであると言えます。


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