中核市
先月のニュースで、「八王子市が東京都で初めての『中核市』に指定されました。」というのを聞きました。
ニュースの内容としては、都道府県の行政の一部を委譲するということのようでしたが、実は「ん、『中核市』って(私は)初めて聞く言葉だなぁ」と思ったのです。
中核市というのは、これは「政令指定都市」「中核市」「特例市」の3つの別がある日本の大都市制度の一つで、「中核市」に指定される要件としては、「人口が30万人以上」であり、都道府県議会とその市の市議会の議決をもって、総務大臣の指定を受けるということになります。
中核市の制度は1995年から始まりました。
最初に挙げた「政令指定都市」というのはよく聞く言葉ですし、これは想像に難くないと思います。
代表的には横浜市やさいたま市のように、「区」を持った市であり、「人口が50万人以上」という本当に大きな「市」がこれに当たります。
(ここでいう「区」は、東京の板橋区や練馬区などの「特別区」とは違う「行政区」と一般に言われるものです)
本来は都道府県のレベルで行なわれる行政の一部を委譲して行なうことができる、というのが大都市制度の機能になります。
政令指定都市では次のことに関する事務を処理できます。
「児童福祉」
「民生委員」
「身体障害者の福祉」
「生活保護」
「社会福祉事業」
「母子家庭及び寡婦の福祉」
「行旅病人及び行旅死亡人の取扱」
「知的障害者の福祉」
「老人福祉」
「母子保健」
「障害者の自立支援」
「食品衛生」
「墓地、埋葬等の規制」
「興行場、旅館及び公衆浴場の営業の規制」
「精神保健及び精神障害者の福祉」
「結核の予防」
「都市計画」
「土地区画整理事業」
「屋外広告物の規制」
中核市ではできないこと
この政令指定都市でできることの大部分は、中核市にも権限はあるのですが、全部というわけではなく、制限されている部分もあります。
まず、行政のための「行政区」を置くことはできません。
都市計画の分野では、国道・都道の管理や、都道、産廃施設などの都市計画決定、市街地開発事業の決定などは中核市ではできません。
また、教職員の研修の実施はできても、人事権はありません。
しかし中核市に指定される…つまり業務の一部が都道府県から移譲されることで、必要な財源確保のために地方交付税が増額されます。
とはいえ、財政面では政令指定都市並みというわけではなく、宝くじの発行などはできません。
(あぁ、
それで東京都の宝くじがあるんだと合点がいきました!! )
総じていえば、都道府県から移譲されている業務は、福祉に関する部分が比較的多いといえます。
大都市制度
日本の大都市制度としては
「政令指定都市(人口50万人以上)」 > 「中核市(30万人以上)」 > 「特例市(20万人以上)」
という区別になりますが、特例市では中核市から福祉や民生に関する部分が制限されていると考えればいいようです。
これらは人口が増えても、市の格付けが自動的に変わるわけではありません。
たとえば30万人の中核市の人口が自然増で増えて50万人を超えても、政令指定都市になるわけではありません。
(政令指定都市になる要件は満たします)
また「中核都市(地域の中核になる都市)」という言葉を、新聞やメディアで見かけることもありますが、この地方行政で規定されている「中核市」と同じ意味ではありません。
東京の西部で言えば、立川(立川市)は地域の中心的役割でもあるので、言葉として「(地域の)中核(の)都市」とは言えても、行政上の権限を持たないので、「中核市」というわけではありません。
また山形市、水戸市、福井市、甲府市、鳥取市、松江市は、県庁所在地であっても「特例市」です。
ただし、上位の県レベルでの行政と一体で形成されるという意味では、人口の少ない県においては大都市制度の必要性は高くないとも言えます。
現在は、この3者の垣根をなくそうという動きもあるようで、そうなると市町村レベルでの合併がまた盛んになるのではないかとも言われています。
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