Now Loading...

#033 2011年11月 TPPの経緯

前の画面に戻る

昨年の今頃に、横浜のAPECのこと( #021 2010年10月 横浜のおまわりさん♪ 〜 APEC 〜 )を書きました。

国会を賑わせている「TPP」を今年のAPECで「表明する」「表明しない」ということを思い出すと、「あぁ、あれからもう1年がたつんだなぁ」と思います。

 

さて、最近の分かっているようで分かっていないこの「TPP」。

これを説明しようとすると、なかなか大変だということが、調べるうちに分かってきました。

それは何故かというと、一人一人の皆さんの立場が異なると、これを「イイ」とも「ワルイ」とも、一概に言いにくいのですね。

ですから、その辺をご理解いただきながら、あくまでも用語の説明であるという風に思ってください。

TPPとは、

(1) Trans-Pacific Partnership  または

(2) Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementの略で、

(1)なら「環太平洋パートナーシップ協定」となりますし、(2)ですと「環太平洋戦略的経済連携協定(合意)」と訳されます。

ここですでに「戦略的」とか「経済」という言葉を入れるか入れないかで、微妙に意味が違ってくるのがお分かりと思います。 


TPPの経緯

TPPはもともと2006年に、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国が、域外への経済的影響力を向上させることを戦略的な目的としたのがスタートになります。

ですから、「小国同士が戦略的に提携することで自国の立場を上げる」ということが目的であったのです。

 

地図を広げると分かりますが、シンガポールはマレー半島の市国といってもいい国、チリは南米西側の南北に細長い国、ニュージーランドはオーストラリアの東側の日本と同程度の面積の国、ブルネイはカリマンタン(ボルネオ)島のうっかりすると見落としそうな小国です。

 

現在はこの4カ国が加盟しているTPPですが、この加盟国同士では、工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁を撤廃して、自由化するということを目的にした、経済連携協定(EPAと言われるので、聞いたことありますよね)の一つと言えます。

 

現在はこの加盟4各国と、5カ国の加盟交渉国(オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシア)で交渉が行なわれています。

他にもカナダや韓国なども参加を表明していましたが、カナダは、酪農などの市場開放が十分でないということで参加を断られ、韓国は参加による不利益を考えて、アメリカとの2国間のFTA(自由貿易協定)に切り替えました。


TPP参加による影響

この当初4カ国で発足したTPPの一大転換期となったのが、昨年の横浜で行なわれたAPECの最終日になります。

この日、TPP加盟4カ国と新たに加盟を表明した5カ国の計9カ国の政府首脳はオバマ米大統領を議長とし、「2011年のAPECまでに妥結と結論を得ることを目標にしたい」との呼びかけに賛同しました。

アメリカは、アジアだけによる経済連携には当初反対していましたが、TPPの拡大はアメリカ締め出しの防止にもなることから、参加を表明しています。

 

もう一つの環太平洋の雄といえば中国になりますが、現時点では参加をしない方向です。

日本は、国内の世論がなかなか調整しきれていないというのが現状で、関税の撤廃や貿易の自由化という点だけではなく、農産物輸入の自由化、外国人労働力の流入など、解決しないといけない問題も山積しています。

とりわけ、金銭的な意味での経済の側面だけではなく、農業政策、ひいては自国の産業の育成などを総合的に考えて判断していかなくてはなりません。

 

一例を挙げれば、農産物が自由化されることで、安いお米が入ってくることも考えられます。

これによって、一般家庭では食料費が抑えられるというメリットがある反面、米の生産農家には、一大死活問題となります。

建設現場や医療介護の現場で、外国人労働力が入ってくることで、人的に数が増えれば手厚い作業も期待できる半面、言葉の問題をどうするのか。

 

また、日本人の雇用環境や、高齢者が雇用の対象から外されるということも考えられます。

経営者か被雇用者(労働者)かという立場や、高齢者か若年層かという立場、製造業なのかサービス業なのかという立場、その各々の立場と、そこでの自分のポジションによって、考え方は悲喜こもごもになってくるといえます。

ですから、冒頭でもお断りしておいたようにこのTPPの問題は、ある人には有益であっても、ある人には不利になるという両面を持っていますので、ここではあくまでもTPPの言葉の概略的な説明にしておきたいと思います。


前の画面に戻る

BACK

MENU

FORWARD