変な言葉だ! 「不胎化」
民主党の代表選挙の翌日に、6年半ぶりに日本銀行が「円売りドル買い」の為替介入をしました。
これは80円台前半になってしまった円高の為替相場を円安に向けることが一つの目的といえます。
円高が続くと、輸出産業は打撃を受けます。
1ドル=100円なら、日本で100万円のクルマがアメリカで1万ドルで買えるわけですが、これが1ドル=80円になると、同じクルマが1万2500ドルになってしまい、買い控えられてしまいます。
多くの輸出企業では今期の為替相場を1ドル=90円ぐらいで想定してると言われています。
ですからこれが80円になると、増える儲けよりも伸びない売上に圧迫されてしまいます。
そこで円の価値を下げるために、「円売りドル買い」政策に日銀が踏み切りました。
これは市中銀行にあるドルを日銀が円で買うという政策です。
それによってドルが減り、市中にその分だけ円が増えることになります。
ところが、市中(市場)の円が増えるということは、インフレ、もしくはデフレになりかねません。
なぜなら、物の量が変わらないのに、お金がだぶついてしまうからです(通貨インフレの要因)。
どうやってこの増えた円を吸収するかというと、市中銀行から買ったドルと同じだけの国債を市中銀行に買ってもらうことで市中銀行から再度円を吸収し、円が増加することでのインフレ・デフレになることを防止します。
そのためにこのインフレやデフレを赤ちゃんの妊娠にたとえて「胎化」とするなら、
それをさせない=「不胎化」といいます。
しかし、今回の為替介入では、この不胎化政策を行ないませんでした。
これは「非不胎化」政策ということになり、国債等を買い取らせなかった今回の政策は、非不胎化政策の一つのやり方といえます。
これは停滞する景気を活性化させるために、市場の通貨の流通量を増やすことを考えたとも言われています。
この円売りドル買いを行なったことで、株式市場も輸出関連の株を中心に値上がりしました。
もちろんこのまま景気の上昇につながっていけばいいのですが、景気政策というものはいろいろな要因が複雑に絡み合ってきますので、なかなか大きな変化をしてくれません。
今回の日銀による円売りドル買いは、6年半ぶりということなので、これで景気が変化してくれることに、大きな期待を寄せたいところですね。
ここでは説明を単純にするために、あえてFB(短期政府証券)の外為市場の売りオペ・買いオペ、あるいはFBの償還期限という言葉等での説明をしていませんのでご了承ください。
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