お祝い事の のし袋
秋は結婚や出産のシーズンと言われています。
おめでたい事に顔がほころぶのは良いのですが、困ってしまうのがお祝いをお包みする時の「のし袋」の書き方。
最初に次の二つののし袋をご覧ください。
見慣れたはずののし袋ですが、よく見ると結び方に2種類あります。
左はほどけても結べる「蝶結び」といい、出産や長寿のお祝いなど、「何度あっても良いお祝い事」の時に使う「のし袋」です。
対して右は結び目のほどけない「結び切り」といい、結婚のように繰り返したくないものの時に使う「のし袋」です。(弔事も「結び切り」です)
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【蝶結び】 【結びきり】
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のし袋のうんちく
こののし袋は、日本で伝統的に礼儀用の包みを形作るものとして用いられてきました。
それには「和紙」であり、「水引」であり、そして「のし(熨斗)」の三点が使われます。
のし(熨斗)とは、慶事における進物や贈答品に添える飾りです。
最近では祝儀袋等の表面に印刷された、簡略化されたものもあり、水引と一緒に使われる事が多いものです。
正式には熨斗鮑(のしあわび)と呼ばれ、(縁起ものである)乾燥させたアワビと、黄色い紙を色紙で包んだものを使っていました。
「のし」は延寿に通じ、アワビは長寿をもたらす食べ物とされたため、昔から縁起物とされ、神饌(しんせん=神様へのお供え物)として用いられてきました。
水引は、5本や7本と奇数に結ぶのがしきたりとなっています。
この本数は丁寧な場合ほど本数が多くなります。結婚の時に限り、10本水引を使うのがしきたりです。
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弔事での注意点
なお弔事において注意すべき点ですが、弔事は「繰り返したくない」ものであるため「結び切り」を用います。
また、一般的な「仏事での弔事」には「のし」をつけません。これはアワビという生臭モノを仏教では避けるためです。
神饌であるという主旨では神式や他宗教の弔事では「のし」はつけても良いのでしょうが、のしが祝い事というイメージが定着した現代では、あえて付ける事でのトラブルを避けた方が賢明かも知れません。
のし袋の表書き
結婚祝いの表書き
「寿」 「壽」 「御結婚御祝い」 「御歓」
等
・ 結婚祝いの品、または金包みに
・ 紅白もしくは金銀の水引(結び切り)を用いたのし袋(品物の場合は紅白の水引でののし紙)
・ 結婚式のお返し・御礼の表書き
「寿」 「壽」
・ 引き出物の返礼に、紅白の水引(結び切り)ののし紙
「御礼」 「寿」
・ 仲人に対するお礼に、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋
「御礼」 「御祝儀」
・ 結婚式の関係者に対するお礼に、紅白の水引(結び切り)ののし袋
(宗教は問いません)
「献金」
・ カトリック・プロテスタント共通で教会に対するお礼に、白無地ののし袋・封筒
「初穂料」 「玉串料」
・ 神前式における神官(宮司)に対するお礼に、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋
「御供物料」
・ 仏前式における僧侶に対するお礼に、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋
帯祝いの表書き
「祝い帯」
・ 実家から自分の娘に祝い帯を贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし
「御帯」
・ 他人の娘に祝い帯を贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙
「寿」 「御帯祝」
・ お祝いのお金包みに、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙
出産祝いの表書き
「御初着」 「御初衣」
(どちらも「おんうぶぎ」と読みます)
・ 母の実家からお祝いの初着を贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙
「祝御安産」 「御出産祝」 「お祝」
・ 親類・知人・友人などが出産祝いの品やお金包みを贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙(お金の場合はのし袋)
長寿のお祝いの表書き
「祝XX」 「XX御祝」 「寿XX」 「寿」
・ XXには、数えで還暦、古希(古稀)=70歳、喜寿=77歳、米寿=88歳、卒寿=90歳、白寿=99歳をいれ、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋・のし紙(例:「祝還暦」 「喜寿御祝」「寿卒寿」等)
お見舞いの表書き
「御見舞」「お見舞」
・ 病気・怪我・火災・風水害・地震などの御見舞一般に、折はしに紅の入ったお見舞い用、もしくは無地ののし袋(水引のものを使うなら紅白の結び切りを使う)
「陣中御見舞」
・ 競技や選挙などの激励に、紅白の水引(蝶結び)ののし袋
弔事ののし袋と、のし袋の作法については「#010-2 2009年10月 不幸の時ののし袋」を参考にしてください。
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