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#073 2015年5月 箱根・大涌谷の噴気

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情報の出しそびれ…

箱根が怪しげな動きになってきましたね。

大涌谷周辺はゴールデンウィーク前後から立ち入りが規制され、観光シーズンを迎える箱根にとっては、大きな痛手といえそうです。

 

大涌谷周辺でおかしな動きがあるらしい…という話は、実は昨年の11月ごろから聞いていて、情報を出しそびれてしまいました。

いままで出たことのない場所から噴気が出始め、周囲は火山特有のにおいも漂い、一部の樹木には枯れているところもあるらしいということを聞いて知りながらも、定かではないニュースをお伝えするのもはばかっているうちに、今回火山に対する警戒が、レベル1からレベル2に引き上げられました。

 

火山警戒レベルについては、2014年10月のかわら版でも触れましたが、レベル1「(静穏な火山活動) 噴火の兆候はない 」からレベル2「(やや活発な火山活動) 火山活動の状態を見守っていく必要がある 」ということは、少し緊張感をもって箱根の山に接しないといけないということでもあります。

火山警戒レベルについては #066 2014年10月 いまさら火山の話でも… を参照してください。


観光地・箱根

箱根といえば古くから関東近郊の観光地として知られ、新宿発の小田急線も箱根登山鉄道の箱根湯本まで乗り入れています。

また熱海や湯河原といった温泉地も近くにあり、こちらもJR東海道線や新幹線でも1時間から1時間半で手軽に行ける有数のリゾート地ですが、実は観光地箱根そのものが、火山の火口の中にある、世界でも稀有な観光スポットなのです。


あれ…?

下に箱根の地形図を載せました。

箱根の急峻な様子を分かりやすくするために、少し陰影を強めています。 主だった地名を入れたので、だいたいの場所の見当がつくと思います。

 

 

・・・ この地形図をぼんやりと見ていると、何か見えてきませんか?

 

そうなんです、小田原と箱根湯本の表示以外は、全部ぼんやりと見える円の中に入ってしまいます。

その中心にあるのが駒ヶ岳で、強羅や小涌谷といった有名な温泉地もすべてこの円の中に入ってしまいます。

この円こそが、箱根が火山の証拠ともいえる、外輪山の部分なのです。

 

では地図で白く見えている芦ノ湖は?

芦ノ湖は、3000年前の爆発の時に、火口に水がたまって出来た堰止湖ですから、これも火口の一部になってきます。

水源となるのは大部分が湖底からの湧水になり、北部の仙石原から流れ出た早川は、小田原近くで相模湾に注いでいます。


富士山と箱根と

箱根からは、日本の名峰富士山も、大変景色のいい場所として眺めることが出来ます。

外国人にも人気の富士山の名勝地箱根には、近年では中国をはじめとしたアジア圏の外国人観光客の方も増え、あらためて箱根の観光価値の高さがうかがい知れます。

 

しかし、最近起きたこの箱根の噴気にとどまらず、様々な天変地異を思い出してみると、東日本大震災を契機として、小笠原諸島の西ノ島での火山活動、木曽御嶽山の噴火、長野県北部での地震、そして最近も東日本大震災後最大になる余震も東北でありました。

 

日本列島の立地条件(地理的な条件)と地球の地殻活動を考えれば、地震や噴火は必ず起きます。

ただ、この「必ず起きる」ということと、「すぐに起きる」ということはイコールではありません。

特に地球規模の活動となると、100年という時間は私たちの時間感覚からすると、数時間程度の違いのようなものだと聞いたこともあります。

 

童話で、「オオカミが来るぞ〜!!」と嘘をついていた少年が、本当にオオカミが来た時に誰も信じなかったという話がありますが、この箱根や地震の予想については、「嘘をついた少年」を責めることよりも、「情報に慣れっこになってしまって、重大な情報が出されたのに見落として(聞き落して)しまう」自分たちを戒めていかなければならないと思います。

 

「まだ来ない、まだ来ない」→「来ないんじゃないか?」→「どうせ来ない」と、私たちの心が変質していった時、つまり一番大きな油断が生まれた時に、災禍は一番大きな被害をともなってやってくるのだと思います。

くれぐれも、身の回りの安全には細心の注意と、肝心な時に取りこぼしをさせない適度な緊張感を保っていましょう!!


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