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#067 2014年11月 始発駅上野、始発駅東京、そして…

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始発駅上野、始発駅東京、そして…

古い歌、特に演歌系の歌だと「津軽海峡冬景色」あるいは「ああ上野駅」など、上野駅といえば北日本への始発駅という印象が強い駅です。

そして、東京駅といえば、関西や九州方面への出発点というイメージですよね。

近年では、東北/上信越の新幹線が東京発着なので、上野駅が始発駅というイメージはだいぶ薄れてきましたが、2015年の3月からは、このイメージが更に大きく変わりそうです。

 

JR東日本の上野駅~東京駅間の在来線の直通工事が完成し、2015年3月14日(土曜日)のダイヤ改正で、高崎線/宇都宮線系統の列車に加え、常磐線からもこの区間を通って、東海道線へと直通運転が実施されます。

すでに試運転の列車は走り出していますが、ここが通じるようになるとどんな変化になるか、調べてみました。

 

2015年3月 ダイヤ改正まで

※ 高崎・宇都宮線方面と東海道線方面の相互通行には新宿を通るしか選択肢がない

 

2015年3月 ダイヤ改正から

※ 高崎・宇都宮線方面と東海道線方面の相互通行に、上野、東京、品川という選択肢が加わる

 

左(上)の図は、現在の路線図です。

池袋/新宿を経由して宇都宮線/高崎線方面と東海道線/横須賀線方面 を結ぶ「湘南新宿ライン」で、利便性は以前よりもずっと増しましたが、今でも大半の列車は、北は上野駅止まり、南は東京駅止まりが多いのが実情です。

上野駅と東京駅の間はわずか3.6qですが、ご存じのように密集地帯ですから、ここに路線を通すのはたいへん難しいことです。

 

そこでこの区間の在来線の上に高架線を作り、右(下)の図のようにこの間を結ぶことで、東京の北と南の利便性を更に増そうというのがこの計画です。

これによって、従来の宇都宮線/高崎線に加え、上野止まりであった常磐線も東京駅方面へ運転されることになりました。

 

このダイヤ改正で、どれぐらいの利便性が増すのでしょう?


JR東日本のプレス発表をもとに…

10月30日に、JR東日本からダイヤ改正に関して、以下の概要でプレス発表がありました。

 

宇都宮線及び高崎線は東海道線と相互直通運転を実施します。

 

常磐線は品川駅まで直通運転を実施します。

(※常磐線は朝通勤ピーク時間帯から(東京駅概ね8:00 以降)の直通運転となります)

 

朝通勤ピーク時間帯(東京駅概ね8:00〜9:00)の直通本数は宇都宮線5本、高崎線5本、常磐線5本とします。

(※ 各線区から東京・品川方面への南行列車本数)

(※ 常磐線は朝通勤ピーク時間帯では、取手以南運転の快速上り電車のみの直通運転となります)

 

常磐線特急列車はデータイムの全ての列車及び夕夜間帯の一部列車を品川駅発着とします。

 

常磐線普通列車はデータイムでは土浦方面からの一部列車を、夕夜間帯では取手以南運転の快速電車を品川駅発着とします。

 

この発表だけだと、まだよく分からないのは、すべての列車が直通するのか、一部は上野(東京)止まりの列車もあるのかということですが、それでも上野駅と東京駅は、「始発駅」から「停車駅」になっていくだろうという姿です。


ちょっと待ったぁ!!

そこで思い出したのは、「品川〜田町間に新駅を建設」というニュースです。 

この場所には広大な車両基地がありましたが、今回の「上野東京ライン」の建設とは関係があるのでしょうか?

 

実は、ここを寝ぐらにしている車両たちは、この路線を通って(土地価格の安い)地方の車両基地への移動ができるようになります。

たとえば、従来は品川の車両基地を寝ぐらにしている伊豆方面に向かう特急「踊り子」の車両は、集中的に高崎方面が基地になります。

この上野東京ルートができると、たやすい移動ができるようになり、また集中配備ですので、車両メンテナンスでもメリットが出ます。

 

しかし本当に一番大きなメリットは、従来配備されていた車両をどけることで、品川と田町の間にある「広大な車両基地を他の空間として利用できる」ようになることです。

ここを都市開発することで、新しいショッピングタウンや住宅地ができ、上野東京ラインを経由して北へも南へも行き来のできる新駅が作られると、利便性が飛躍的に増します。

また、羽田空港への直通路線に転用が言われている「東海道貨物線」もこのすぐ東側に沿うように走っています。

 

【補足】

品川〜田町間の新駅は京浜東北線と山手線の駅であるため、多方面の利便性を考えると品川駅を中心に人の流れは出来ることになると思われます。

品川駅が中心となれば、東海道方面/高崎・宇都宮線方面のアクセスを充実させることや、一部の列車であっても常磐線を品川発着とすることに大きな意味が出てきます。

 

鉄道による人や物の輸送という本業以上の、収益性の高いビジネスにつながるという意味で、このわずか 3.6q のルート建設は大いなる3.6q になるのかも知れません。


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