Now Loading...

#011 2009年11月 寒い冬といえば… ちくわぶの話

前の画面に戻る


寒い冬といえば…

やっぱり、寒い冬には身体が温まる鍋料理が一番♪

中でも冬の定番鍋といえば、たくさんの具をいろいろと入れて煮込む「おでん」に行き着きます。

ところが、このおでん…。

中に入れる具(たね)は、実は全国各地で非常にたくさんの種類があります。


この白いのはなんだ??

地方出身の友だちが、東京に来て初めての冬に皆で囲んだ初めてのおでんの鍋の中に、地元(九州)では見たことのない白い物体が…。

「これなに?」と質問する友だちに、周囲は怪訝な顔で「ちくわぶ」だよと答えました。

初めて目にする食材。

ちくわに似た名前だけど、焦げ目のない白い姿は、おでん鍋の中で異物体を見るような思いだったと言います。


ちくわぶ って…

見たことも聞いたこともない…。

地方出身の方が、東京のおでんの中に初めて「ちくわぶ」を見つけた時は、まさしくそんな実感なのではないかなと思います。

しかも東京では、「ちくわぶ知らないの?」 「普通おでんに入っているでしょ?」 と、さもおでん料理のスタンダードのような具材のようです。


長年の疑問が解決

最近はテレビのバラエティで知識番組(トリビア系)や、都道府県自慢の番組が増えてきました。

いつも面白く見ているのですが、先日その中でこの「ちくわぶ」を取り上げた番組が!!

実はこの「ちくわぶ」、関東の狭いエリアでの定番だったのです!!

関東からさほど遠くない静岡でも、すでに「ちくわぶ」には「なにこれ?」という感じで、その存在すらやはり知られない具材だったのです。

東京で生まれ育ちの皆様には当たり前におでんに入っている「ちくわぶ」は、実はスタンダードな具材ではなく、東京ローカルの具材だったのですね。


ちくわぶのうんちく…調べました

この「ちくわぶ」、その原料となるのが小麦粉で、それに水と塩をこねあわせて棒などに巻きつけて成形、その後に蒸してできあがったものです。

漢字では「竹輪麩」と書きます。

そこでハタと気づいたのが、「ちくわ(の形)」+「麩」だったのか!!

 という名前の由来でした。

もっとも生麩の一種のようでありながら、グルテンだけで作られる本来の生麩よりかなり粉っぽく、団子やすいとんに近い風味ですよね。

おでん種としては珍しく小麦粉で作られているため、おでんを食べる時の「主食」代わりにする人もいらっしゃいます。

軟らかく煮込まれて「つゆ」の味を吸って、クタクタになるまで煮込んだものを好む人もいらっしゃいますが、煮込み過ぎると溶け出して「つゆ」が濁ってしまうため、好みと頃合いを見計らって煮たほうが良いとも言えます。


おでんの「つゆ」…?

おでんの元々の発祥は、室町時代の味噌田楽にさかのぼると言われています。

この田楽、具を串に刺して焼いた「焼き田楽」、具を茹でた「煮込み田楽」がありました。

この煮込み田楽が、後に女房言葉の接頭語(お)をつけて「おでん」となり、焼き田楽はそのまま田楽と呼ばれることになります。

時代は下り、江戸になり濃口醤油が発明されると、江戸で醤油味の濃い出汁を使っておでんが作られるようになりました。

これが上方(関西)に伝わり、「関東炊き」や「関東煮(読み方は「かんとうだき・かんとだき」)」と呼ばれるようなりました。

しかし独自の上方の食文化の中で、「関東煮」は昆布・鯨・牛すじなどで出汁をとったり、薄口醤油を用いたりと独自に変化していきました。

その後に、実は本家の江戸(関東・東京)ではこの濃口醤油を使った「おでん」は廃れてしまいます。

東京にこのおでんが復活したのは、1923年(大正12年)の関東大震災の時、関西から救援に来た人たちの炊き出しで「関東煮」が振る舞われたことからでした。

しかし本来の江戸の味は既に失われていたために、味付けは関西風のものが主流となったのです。

一般的にうどん・そばのつゆを見ても、関東=濃い色味、関西=薄い色味という印象ですが、おでんの老舗となるとこれが逆転してきます。

関西の関東炊きの老舗では元々の濃口の醤油味で残っているのに対して、東京の老舗では震災当時の関東煮(薄い色味)が主流になります。

食べ物の歴史って、つくづく面白いなと感心してしまいました♪


「おでん」と「かんとだき」はちゃうでぇ!!

補足になりますが、いまでは「おでん」というと具の種類は別にして、醤油仕立てで煮込んだ料理ということで全国区の名称と思われますが、おでんといえば「田楽」のことで味噌で食べるもの、煮込んだものは「関東煮」だというご意見もございます。

たしかに、昭和初期の頃まで食通の大阪圏ではそのように区別されていましたし、上方落語にいくつか出てくる「田楽」にまつわる噺からも、田楽料理が「おでん」として生活に浸透していたことが想像されます。

とはいえ、ここまで広くおでんが浸透したのは、コンビニエンスストアで手軽に買えることになったのが一番の出来事なのだろうなと思っています。

コンビニでおでんを扱ったのは、1979年のセブンイレブンが最初だそうです。

いまでは、すっかり冬の定番鍋料理となったおでん。

この冬は何回、ご家庭の食卓を賑わすことでしょう?

最後におでんの具材を思いつくまま挙げてみました。

このうち、いくつの具材を皆様のご家庭ではお使いですか?


【ほぼ全国共通で用いられる具材】

大根

コンニャク

しらたき

ちくわ

厚揚げ・生揚げ

豆腐

がんもどき

巾着

ゆで卵

昆布

じゃがいも

はんぺん

さつまあげ

平天丸天(ボール)

ゴボウ巻き(ゴボ天)

イカ巻き

エビ巻き

ウィンナー巻き

玉子巻き(ばくだん)

シューマイ巻き

餃子巻き など

 

【地域や好みによって追加されることのある具材】

信太巻

厚焼き

高野豆腐

かまぼこ

ニンジン

サトイモ

ギンナン

タケノコ

キノコ(シイタケ、マイタケ、ブナシメジ、エリンギなど)

ロールキャベツ

スジ肉(すじ)

つみれ

つくね

ウィンナー

鶏肉

つぶ貝・バイなどの巻貝類

真薯揚げ(しんじょあげ・しんじょうあげ) など


前の画面に戻る

BACK

MENU

FORWARD