#077 2015年9月 こんな水害は見たことない…!!

 

今年は、秋の来るのがとても早かった気がします。

地球温暖化の影響か、「暑い夏」が例年続いているのですが、8月下旬に急に涼しくなったかと思ったら、そのまま体に感じる風も、赤とんぼも、すっかり秋の様相になってきました。

8月の暑いさなかに鶏の卵の生産高が落ちたところに、下旬の涼しさでコンビニのおでんの需要が高まり、卵の出荷価格が上昇しているそうです。


こんな水害は見たことない… 〜

ダブル台風となった、台風17号と18号。
17号の方は東経/西経180度、つまり太平洋を東西にわける日付変更線近くで発生し、西に向かうというあまり例のない動きと、長距離に渡って発達してきたので、私たちの注意はそちらに向いていました。

確かに大型の台風ではあったのですが、日本列島を避けて、おそらく太平洋沿岸を北東方面に進むだろうと事前から予報されていました。(実際、そういう動きになりました)

【気象庁台風経路図より】

この時に、台風17号は比較的長期間に渡って観測されてきたのに対して、18号の方は「台風に発達しそうです」という注意はありましたが、「台風18号が発生しました」という報道から、わずか2日で愛知県に上陸したので、気分的には意表を突かれた感じが否めません。
また私たちの気持ちの上でも、17号に向けていた注意が、17号が直撃しないと思った時に、つい18号に対しての注意がおろそかになっていたかもしれません。
天気予報では、「台風18号は風よりも雨の多い『雨台風』です」と言っていました。

2013年5月のかわら版「偏西風の話(2013年5月)」を覚えていらっしゃる方は思い出していただきたいのですが、私たちの日本列島がある北半球では、『低気圧(台風も大きな低気圧です)は時計と反対まわり(左巻き)の渦で風を中心に吸い込んで』いました。
そうすると北に向かう台風では、その進路に対しては台風の右側に海の水分を含んだ雨雲が長く伸びることになります。
ですから18号の右側(日本列島の東側)により大きな雨の被害が出ることが予想されたわけです。


被害は二重の大雨で… 〜

まず最初に大雨が降ったのが関東の水源になる山間部です。

関東平野への水の供給は、群馬・栃木を源泉にする利根川水系と秩父を源泉にする荒川水系の大きく二つの水系でまかなっています。(2017年7月の 東京の水がめ の話もご覧ください)
このうち、日光中禅寺湖などを水源とする鬼怒川が流れ込む利根川水系では、日光方面に降った前日の大雨で鬼怒川の水量が増えているところに、日本海に抜けた18号の尾ビレのような南から北に伸びる雨雲が、その翌日に茨城県常総市近辺に大雨をふらせ、鬼怒川の水位を上昇させ、堤防が決壊したということです。


なぜ? 想定外? 〜

長い日本の歴史の中で、常に農業に携わる人々を悩ませてきたのが、飢饉と水害です。

過去の何百年の歴史の中で、河川の氾濫や洪水を治める「治水」は日本の宿命的な課題といえます。
堤防は越水−川の水位が堤防高を越えて水があふれる現象−が起きると、土砂が削られ堤防の決壊につながります。そこで水位が堤防を乗り越えても「緩やかに」水を流す工夫として、100年、200年に一回の大洪水にも耐えられるスーパー堤防という高規格堤防の建設が進められています。
このスーパー堤防というのは、川と反対側の堤防の勾配を緩やかにして、なだらかな浸水にさせることで、土砂の崩壊を起こさせないようにする工夫ですが、勾配を緩やかにする分だけ、長い期間の工事と費用も掛かってきます。
一説では、数百年の時間と10兆円を超える規模の建設費用が掛かるという試算、また利根川全体をスーパー堤防にするには1000年かかるという試算もあり、一朝一夕に改善されるものではありません。

今回の常総市の水害は、その100年、200年に一回という県や市も想定しきれない災害という側面はありますが、まずは一日も早い復旧こそが、私たちの安定した暮らしに結びつくものと思います。


2007年 多摩川で撮った写真 〜

最後に、2007年9月の台風9号の写真をたまたま撮っていたのでご紹介します。
場所は多摩川のガス橋の近くです。
左の写真が水位が一番上がっていて土手の天端の際まで来る寸前でした。右は後日に同じ場所で取った「いつも」の姿です。

本当に足がすくみました。
この時に、東京近郊にこんな危機一髪になる場所があるのだという事を、改めて思い知った時でした。