#037 2012年4月 糖尿病T型/U型

 

 山本昌投手おめでとう!! 〜

2月に、プロ野球の鉄人たちの話をさせていただきました。

その中で中日の山本昌投手に最年長先発勝利(46歳8ヶ月)が掛かっていると書かせていただきましたが、4月15日の対阪神戦で見事に達成されました。
プロ生活29年目ということですから、入団した年に生まれた選手もベテランの域に入ろうかという中での記録達成には感服いたします。

プロ野球界の誇りとして、本当に嬉しい勝利と思います。

山本昌投手、おめでとうございます。


 その時、対戦した阪神のピッチャー 〜

その阪神−中日戦で、阪神タイガースの負け投手になったのが、背番号21をつける岩田稔投手です。

1983年10月生まれですから、山本昌投手が入団した時には生まれていない選手です。

しかし、この岩田投手もまた「プロ野球の鉄人」と言っても言い過ぎではないのかも知れません。

岩田投手は高校時代から頭角を現し、野球の名門大阪桐蔭高校で2年生からエースとなり、その年の秋季府大会での準優勝、近畿大会でもベスト8に入るほどの実力のある選手でした。


 選手を襲った突然の病い 〜

ところが、その年の冬に風邪を引いた際のウイルス感染が原因となり、1型糖尿病を発症してしまいました(1型糖尿病についてはあとで少し説明します)。

3年生の時もエースだったのですが、腰の故障で登板機会はなく、高校卒業後の進路は社会人野球のチームに決まっていた(発症前に内定を受けていたそうです)のですが、3年生の夏の大会が終わった直後に、病気を理由に内定を取り消されるという苦渋を味わっています。

一般人と違い、社会人野球で期待される活躍に支障があるであろうという企業側の理屈も分かりますが、やはり一つの糖尿病患者に対する就職差別と言えると思います。

この時に岩田選手は「あとで絶対に見ておけよ!!」という反骨心とともに、指定校推薦で関西大学に進学し、そこでもエースとして活躍しました。

そして2005年の大学・社会人ドラフトで希望入団枠制度により阪神タイガースに入団することになります。


 糖尿病の 1型と2型 〜

太りすぎてとか、不摂生や食生活の偏りとかで糖尿病になると言われたりもしますが、果たしてこの「糖尿病」とはどんな病気なのでしょうか?

糖尿病とは血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が病的に高くなる病気です。

病気の程度は、無症状の状態から、激しい喉の渇きや大量の尿を排泄したり、さらには意識障害・昏睡状態と様々ですが、これらをすべてまとめて、一定の基準を超えている場合を糖尿病といいます。

この血糖値は、様々なホルモン(インスリン、グルカゴン、コルチゾールなど)の働きで通常は一定範囲内に調節されているのですが、なにかの理由によってこの調節機構が破綻すると、血液中の糖分が異常に増加し、糖尿病になります。

この調節機構の壊れ方の違いで、糖尿病は大きく「1型」と「2型」に分けられます。

「1型糖尿病」では膵臓のβ細胞が何らかの理由によって破壊されること(岩田投手の場合はウイルス感染と推測されます)で、血糖値を調節するホルモンの一つであるインスリンがなくなってしまい、高血糖や「糖尿病」になってしまいます。

これが「2型糖尿病」は、血中にインスリンはあるものの、肥満などを原因としてインスリンの働きが悪くなるか、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、結果として血糖値の調整がうまくいかずになってしまう「糖尿病」といえます。

従って1型糖尿病と2型糖尿病は、血糖値の調整ができないという点では同じ「糖尿病」ですが、その原因となるところが違うことから、治し方も違ってきます。


 インスリン注射  〜

1型糖尿病では、インスリンというホルモンを自分で作れないため、血糖値の調整ができません。
その結果、血糖値の急激な上昇で昏睡状態になったり、腎臓などに合併症を引き起こすことを予防するために、一日に数回のインスリンの注射を「自分で」しなくてはなりません。

岩田選手は、朝・昼・夜・就寝前と、一日に4回のインスリン注射をしていると聞いています。またその他にも週に1回の通院も必要で、プロ野球の選手としてやっていくには、人一倍の苦労があることと思います。

しかし岩田選手が野球を続けてきたのは、発症した時に主治医の先生から、症状を安定させるために「食事」「インスリン」「運動」のバランスを取る必要で野球を続けることを勧められたこと、そしてプロ野球選手になり、注目されることでこの「1型糖尿病」を多くの人に知ってもらい、また同じ病気で悩む多くの子どもたちの「希望の星」になるという目標が、岩田選手の力強い原動力になったのだと思います。