#010 2009年9月/10月 慶弔の のし袋

 

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〜 お祝い事の のし袋 〜

秋は結婚や出産のシーズンと言われています。

おめでたい事に顔がほころぶのは良いのですが、困ってしまうのがお祝いをお包みする時の「のし袋」の書き方。


蝶結び   結びきり

 

最初に右の二つののし袋をご覧ください。
見慣れたはずののし袋ですが、よく見ると結び方に2種類あります。

左はほどけても結べる「蝶結び」といい、出産や長寿のお祝いなど、「何度あっても良いお祝い事」の時に使う「のし袋」です。

対して右は結び目のほどけない「結び切り」といい、結婚のように繰り返したくないものの時に使う「のし袋」です。(弔事も「結び切り」です)


〜 のし袋のうんちく 〜

こののし袋は、日本で伝統的に礼儀用の包みを形作るものとして用いられてきました。
それには「和紙」であり、「水引」であり、そして「のし(熨斗)」の三点が使われます。

のし(熨斗)とは、慶事における進物や贈答品に添える飾りです。

最近では祝儀袋等の表面に印刷された、簡略化されたものもあり、水引と一緒に使われる事が多いものです。

正式には熨斗鮑(のしあわび)と呼ばれ、(縁起ものである)乾燥させたアワビと、黄色い紙を色紙で包んだものを使っていました。

「のし」は延寿に通じ、アワビは長寿をもたらす食べ物とされたため、昔から縁起物とされ、神饌(しんせん=神様へのお供え物)として用いられてきました。

水引は、5本や7本と奇数に結ぶのがしきたりとなっています。この本数は丁寧な場合ほど本数が多くなります。結婚の時に限り、10本水引を使うのがしきたりです。


〜 弔事での注意点 〜

なお弔事において注意すべき点ですが、弔事は「繰り返したくない」ものであるため「結び切り」を用いるのですが、一般的な「仏事での弔事」には「のし」をつけません。

これはアワビという生臭モノを仏教では避けるためです。

神饌であるという主旨では神式や他宗教の弔事では「のし」はつけても良いのでしょうが、のしが祝い事というイメージが定着した現代では、あえて付ける事でのトラブルを避けた方が賢明かも知れません。


 〜 のし袋の表書き 〜


結婚祝いの表書き

「寿」 「壽」 「御結婚御祝い」 「御歓」 等

  • 結婚祝いの品、または金包みに

  • 紅白もしくは金銀の水引(結び切り)を用いたのし袋(品物の場合は紅白の水引でののし紙)

  • 結婚式のお返し・御礼の表書き

「寿」 「壽」

  • 引き出物の返礼に、紅白の水引(結び切り)ののし紙

「御礼」 「寿」

  • 仲人に対するお礼に、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋

「御礼」 「御祝儀」

  • 結婚式の関係者に対するお礼に、紅白の水引(結び切り)ののし袋
    (宗教は問いません)

「献金」

  • カトリック・プロテスタント共通で教会に対するお礼に、白無地ののし袋・封筒

「初穂料」 「玉串料」

  • 神前式における神官(宮司)に対するお礼に、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋

「御供物料」

  • 仏前式における僧侶に対するお礼に、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋

帯祝いの表書き

「祝い帯」

  • 実家から自分の娘に祝い帯を贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし

「御帯」

  • 他人の娘に祝い帯を贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙

「寿」 「御帯祝」

  • お祝いのお金包みに、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙

出産祝いの表書き

「御初着」 「御初衣」 (どちらも「おんうぶぎ」と読みます)

  • 母の実家からお祝いの初着を贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙

「祝御安産」 「御出産祝」 「お祝」

  • 親類・知人・友人などが出産祝いの品やお金包みを贈る時に、紅白の水引(蝶結び)を用いたのし紙(お金の場合はのし袋)

長寿のお祝いの表書き

「祝XX」 「XX御祝」 「寿XX」 「寿」

  • XXには、数えで還暦、古希(古稀)=70歳、喜寿=77歳、米寿=88歳、卒寿=90歳、白寿=99歳をいれ、金銀もしくは紅白の水引(結び切り)ののし袋・のし紙(例:「祝還暦」 「喜寿御祝」「寿卒寿」等)

お見舞いの表書き

「御見舞」「お見舞」

  • 病気・怪我・火災・風水害・地震などの御見舞一般に、折はしに紅の入ったお見舞い用、もしくは無地ののし袋(水引のものを使うなら紅白の結び切りを使う)

「陣中御見舞」

  • 競技や選挙などの激励に、紅白の水引(蝶結び)ののし袋


・゚゚・(/□\*)・゚゚・ 
紙面が足りず、弔事については別の機会にあらためます ごめんなさい

(2009年9月分はここまで)


左 お祝い事
下の折を上の折にかぶせます。

右 お悔やみ事

上の折を下の折にかぶせます。


連名で贈る場合には、目上の順に右から記名します。

贈る相手の名前を書く場合は左上が目上になります。

中袋がない場合は、裏面に住所を記入しておきます。  


[1]

中袋は裏に金額を記入する欄がある場合は、そこに金額を書き、表の中心を少し外した所に住所・氏名を書きます。

[2]

特に金滮する欄のない場合は、表の中央に金額を書き、裏の中心を少し外した所に住所・氏名を書きます。

〜 のし袋の話 〜   先月からの続き

先月はお祝い事ののし袋の話を書き始めたら、思いのほかボリュームがありすぎて、慶事だけでも紙面が足りなくなってしまいました。

多くの方から、「弔事の場合はどうしたらいいのか?」というお問い合わせの声もたくさん頂戴したので、今月は弔事全般についてお届けいたします。

〜 お金の包み方 〜

「幸せが何度でも受け止められるように」という意味から、お祝い事では下側が上にくるように重ね、「悲しみに目を伏せる」という意味から、弔事では上側が上に重なるように包みます。

〜 表・裏書の書き方 〜

表書きは、水引の真上に毛筆で書きます。

お祝い事・慶事の時には濃い黒墨を使い、お悔やみ事や弔事の時にはやや薄い墨を使います。
もちろん墨を摺って筆で書ければ言うことはありませんが、手近にない場合は筆ペンを使ってください。

筆ペンには普通の黒いものと、ややグレーがかった弔事用の2種類があります。
特に慶事の時にこれを間違えると、受け取った方は大変不快に思うもの。くれぐれもご注意ください。

なお、病気見舞いは弔事ではありませんので、黒墨を必ず使うようにしてください。

〜 中袋の書き方 〜

市販の祝儀袋にはほとんどの場合、中包みがついています。
もし、ついていない場合は半紙や奉書紙でお金を包みます。

最近の祝儀袋の中袋には金額、住所を書き込む場所も印刷されている場合も多いので便利です。

〜 弔事ののし袋の使い方 〜

香典

お香典は、通夜か告別式の受付に差し出します。

受付の経験がある方はお分かりと思いますが、何かとバタバタしている場所で、中袋から現金を抜き出して保管すると、あとで香典返しをする場合に、いただいた金額やお名前が分からなくなることも多々あります。

ですから、のし袋には住所・氏名・金額はきちんと書くことがむしろ後日の手間が掛からないということでは礼儀になります。

 

水引

黒白または総銀の結びきりの不祝儀袋を使います。
のしはつけません。

法要の場合には黒白よりも総銀や黄白を使うのが一般的です。

印刷された水引か、実際に結んである水引にするかは、中に入れる金額に応じて決めます。

 

その他の注意

蓮の花の文様や御仏前と書かれたものは仏式に限られます。

お札は用意してあったと思われるので、新札・新券は避けます。

持参する時は「ふくさ」に包んで持参します。直接バッグから出すのは礼を失します。

仏教では四十九日を境に霊から仏になるとされます。

ですから四十九日までは御霊前、それ以降は御仏前を用いるのが通例です。
(ただし、厳密には宗派によって異なり、霊の考え方がない宗派では葬儀当日から御仏前を用いるということもあります。先方の宗派までは分かりませんので、あまりこだわらずに持参されてよろしいと思います。)

〜 香典返しの時期 〜

香典返しは、四十九日の忌明けに、お礼の挨拶状とともに送ることが多いようです。

神式の場合には三十日祭、または五十日祭の時に行ないます。

〜 のし袋の表書き (弔事編) 〜

仏式会葬の表書き

「御香典」 「御香奠(おこうでん)」 「御香料」 等

  • お金を供える時に

「御香華料」

  • お金や品物、お花を供える時に

「御霊前」

  • 霊前にお金や品物を供える時に

「御仏前」

  • 四十九日以降にお金を供える時に

「御悔」

  • 主に通夜などに供えるお金や品物に

いずれも黒白もしくは総銀の水引(結び切り)を用いた金封・のし袋
(品物の場合は黒白の水引でののし紙)

法要の表書き

「御供物料」

  • 仏式・神式いずれの場合にも用います

「お花料」「御霊前」

  • 仏式・神式・キリスト教式いずれの場合にも用います

「御仏前」

  • 仏式法要の時に

「(御)玉串料」 「(御)神饌料」

  • 神式霊祭の時に

「御塔婆料」

  • 卒塔婆を依頼した時に

 

いずれも白無地ののしぶくろ、または黒白か総銀の水引(結び切り)を用いた金封・のし袋(品物の場合は黒白の水引でののし紙)

 

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